華人社会がわかる本―中国から世界へ広がるネットワークの歴史、社会、文化

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  • サイズ B6判/ページ数 241p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784750320892
  • NDC分類 334.522
  • Cコード C0039

出版社内容情報

今日一層身近な存在になっている華人社会について、専門的知識と豊富な体験を持つ多彩な執筆陣が解説。歴史、政治、言語、教育、宗教などについて、日本と世界の中華街について、伝統的特色だけでなく、最近の動向をも知ることができる決定版華人関係入門書。

はじめに/山下清海
第1章 華人社会を知る
1 華人社会の見方と現状/山下清海
2 華人の歴史/合田美穂
3 華人経済の特色と発展/岩崎育夫
4 華人の政治と中国/田中恭子
5 華人の言語と教育/小木裕文
6 華人の宗教と社会組織/吉原和男
7 華人ネットワーク/陳天璽
第2章 日本の華人社会
1 日本の華人社会
(1) 日本の華人社会の歴史的特色/許淑眞
(2) 在日華人社会の民俗文化/曽士才
2 横浜の華人社会
(1) 横浜華人社会の形成と特色/伊藤泉美
(2) 横浜中華街──不易と流行──/曽徳深
(3) 横浜中華街から見えてくる華人文化/齋藤晃
3 神戸の華人社会
(1) 神戸華人社会の形成と特色/陳來幸
(2) 神戸南京町vs横浜中華街/岩井孝夫
4 長崎の華人社会
(1) 長崎華人社会の形成と特色/陳東華
(2) 長崎ちゃんぽん物語/陳優継
5 変容する日本の華人社会
(1) 日本の新華僑華人/段躍中
(2) 公共住宅団地に集住する新華僑──埼玉県川口芝園団地──/江衛
(3) 「池袋チャイナタウン」の誕生/山下清海
第3章 世界の華人社会
1 スの新旧のチャイナタウン──/山下清海
(14) カナダ──エリート華人のクロスロード、トロント──/森川眞規雄
(15) オーストラリア──華人社会と多文化主義──/市川哲
(16) 南アフリカ──21世紀の新たなフロンティア──/池谷和信
(17) ブラジル──サンパウロ東洋人地区の華人──/丸山浩明
(18) 中国からみた海外の華人──華人資本経営の上海の巨大ショッピングモール──/加藤英樹
おわりに/山下清海
[巻末資料]華人社会を知るための書籍案内/山下清海
索引

はじめに
 かつてマレーシアで華人社会の調査をしていた際に、ある華人の同郷会館を訪れた。「最近、日本人の研究者や学生がやたら訪ねてくるけど、日本人はよほど華人に関心があるようだね。そういえば、だいぶ前にも日本人がいろいろ華人について調べにきたけど、その後すぐに日本軍がやってきたよ」と言って、会館秘書を務める華人の老人は笑った。確かに、第二次世界大戦前、東南アジアへの侵攻を模索していた日本は、現地で経済的に大きな力を持ち、反日的である「華僑」に対して強い関心を抱いていた。当時から、「金儲けが上手で、何となく不気味な存在」という、日本人が抱いてきた「華僑」イメージが、未だに尾を引いているような気がする。
 今日、世界各地どこに行っても、漢字の看板を掲げた華人経営の中国料理店があり、バイタリティーあふれる華人の姿に出くわす。日本の居酒屋でも、中国からやってきた若い華人が一生懸命に働いている。以前に比べ、一層身近な存在になっている華人であるが、これまで華人社会について知りたいと思っても、華人社会の伝統的な特色から今日の動向まで、わかりやすく解説したような本はなかった。
 編者自身も、『東南アジアのチャイナタウンの歴史や民俗文化の特色について論じた後、日本の三大中華街(横浜中華街・神戸南京町・長崎新地中華街)がある横浜・神戸・長崎の華人社会の歴史と現状について解説する。執筆者には、各地の華人社会のリーダー的な方々にも加わっていただき、華人の生の声を伝えていただいた。第二章の最後には、まだあまり知られていない、日本の華人社会の今の姿について考察する。
 最後の第三章は、世界の華人社会について取りあげる。まず、世界各地の華人社会の動向をみた後、現地体験豊富な方々に、世界各地の華人社会を、興味深いトピックを中心にレポートしてもらった。古くから「海水到るところに華僑あり」といわれてきたように、読者の多くは「こんなところにも華人が……、あそこにもチャイナタウンが……」と再発見されるに違いない。
 ところで、「華人」と「華僑」の用語については、第一章で詳しく解説するが、本書では原則として、中国を離れて海外に居住する中国系住民の総称として「華人」の語を使用する。しかし、華人が居住する地域の条件や時代も異なると、本書のすべてにおいて「華人」に統一することは容易ではなく、一部においては「華僑」あるいは「華僑・華人」、「華僑華人」と

目次

第1章 華人社会を知る(華人社会の見方と現状;華人の歴史;華人経済の特色と発展 ほか)
第2章 日本の華人社会(日本の華人社会;横浜の華人社会;神戸の華人社会 ほか)
第3章 世界の華人社会(世界各地の華人社会の動向;世界各地の華人社会リポート)

著者等紹介

山下清海[ヤマシタキヨミ]
1951年、福岡市生まれ。筑波大学大学院教授。筑波大学大学院博士課程地球科学研究科地理学・水文学専攻修了。理学博士。1978~80年、文部省アジア諸国等派遣留学生として、シンガポールの南洋大学地理系に留学。1994~95年、カリフォルニア大学バークレー校Asian American Studies客員研究員。秋田大学教育学部教授、東洋大学国際地域学部教授を経て、2004年から現職。専攻は人文地理学、中国・東南アジア地域研究。特に日本および世界各地の華人社会・チャイナタウンをフィールドワーク重視で調査研究
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感想・レビュー

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SD

3
タイトルの通り、華人社会とはどのようなものなのか、ということについて理解できる本。華人の歴史とは、移動・移住の歴史と切っても切り離せない。その移動の理由の根底にあるものは、安寧を求めて、だ。商売・貿易目的で国境を跨いでいた中国商人達であったが、中国国内では、世界史が語るように何度も大きな国家転覆が行われてきた。そのような不安定な国内状況下に置かれた際に、国家へのアイデンティティは失わずに、しかし安心安全に暮らせる場所へと散っていったのだ。その積み重ねで、現在の世界を繋がる華人コミュニティが形成された。2019/10/02

K A

0
華人社会の全世界に広がるネットワークについて出身地域や渡航先、就業形態などに着目して書かれている。故郷に錦を飾るuターン移民も国によっては今では珍しくないのかー。2016/02/20

ManCheeFMW

0
世界の華僑/華人社会の形成バックグラウンドについてサマライズされた一冊。あれこれ身の回りのひとたちを思い浮かべながら、膝を打ちながら読了。2018/10/04

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