ジェンダーの言語学

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  • サイズ A5判/ページ数 166p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784750320069
  • NDC分類 801
  • Cコード C0036

出版社内容情報

言語と性差の研究は、レトリカル・ムーブメントとも呼ばれた第2波フェミニズム運動のなかで生まれた学際的な研究領域である。本書は、言語と性差研究の方向づけを示し、主要なテーマを具体的に論じた論文集である。

第1章 序論/言語と性差の研究――フェミニズム言語研究の理論構築に向けて(れいのるず秋葉かつえ)
第2章 女たちによる意味の(再)生産(サリー・マコネル=ジネー(れいのるず秋葉かつえ訳))
第3章 女が医者になるとき――医者と患者に見られる権力・地位・ジェンダーの構造(キャンディス・ウエスト(灘光洋子訳))
第4章 ディスコースと辞書――性差別的意味の公認化(ポーラ・A・トライクラー(佐竹久仁子訳))
第5章 女性教授のジレンマ――女らしさか教授らしさか(エリザベス・D・クーン(熊谷滋子訳))
第6章 男と無表情と力(ジャック・W・サテル(佐竹久仁子訳))
第7章 インターネット通信――性差/性差別の構造と民主化の可能性(スーザン・C・ヘリング(永原浩行訳))

"第1章 序論/言語と性差の研究――フェミニズム言語研究の理論構築に向けて
 アメリカで言語と性差の研究(〈言語と性差〉研究)という学際的な研究領域が顕著になって、25年が過ぎた。〈言語は思考内容を伝えるための無色透明な道具ではない。思考内容を形作り、変形し、理解し、表現する過程それ自体に参加するものである。言語が性差別的であれば、人はその言語に導かれて性差別的なものの考え方をし、性差別的な判断をするものである。〉こんな言語観がすっかり根付いた。「Mrs. Missを廃してMs.にせよ」とか、「chairmanをchairpersonに置き換えよ」といった表面的でたいした問題でないように見える運動を起こしながら、アメリカの第1波フェミニズム運動の女性たちは、言語と性差別の底知れない深い関係(言語学では「サピア・ウォーフ」の仮説として知られている)に気づいてもいたのだった。それを裏づける言葉がフェミニズム運動のそこかしこに記録されている。たとえば、If feminism is the final cause..., then [attention to] language is the first necessity (フェミニズムが……最後の思想運動であるならば、まず注目しなければならないのは言語である)と言ったフェミニスト開し、グローバル・フェミニズムへの可能性を探り始めてもいる。〈言語と性差〉研究は、伝統的な学問の成果を踏まえながら、差別撤廃のための変革にしっかりとつながる研究を積み重ねてきている。
 この論集には1980年代から90年代前半(〈言語と性差〉研究第2―3デケイド)にアメリカで出版された論文6編を集めた。言語変革運動が主体であった70年代が終わり、〈言語と性差〉研究がフェミニズム研究として次第にあるまとまりをもつようになった時代の論文の例である。最初の2編は、〈言語と性差〉研究の枠づけ、方向づけを行なった論文で、他の4編は言語と性差研究の主要テーマを具体的に扱った論文である。(後略)"

目次

第1章 序論/言語と性差の研究―フェミニズム言語研究の理論構築に向けて
第2章 女たちによる意味の(再)生産
第3章 女が医者になるとき―医者と患者に見られる権力・地位・ジェンダーの構造
第4章 ディスコースと辞書―性差別的意味の公認化
第5章 女性教授のジレンマ―女らしさか教授らしさか
第6章 男と無表情と力
第7章 インターネット通信―性差/性差別の構造と民主化の可能性

著者等紹介

れいのるず秋葉かつえ[レイノルズアキバカツエ]
現在、ハワイ大学東アジア言語文学部教授。カリフォルニア大学ロサンジェルス校卒業。Ph.D.in Linguistics.,UCLA

永原浩行[ナガハラヒロユキ]
カリフォルニア大学ロサンジェルス校卒業。Ph.D.in Liguistics.,UCLA
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