私たちの生きた日本―その「小さな歯車」の記録

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  • サイズ B6判/ページ数 225p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750319858
  • NDC分類 312.1
  • Cコード C0031

出版社内容情報

人生の大半を社会党と政治革新のために燃焼しつくした著者が、60年安保、美濃部都政、細川内閣と自社さ連立など、戦後政治の転換点の内幕を赤裸々に語る。

まえがき ―― 私たちの生きた二〇世紀
第一章 戦争と平和
(一)「おしん」のふるさと
 たった二枚の写真
 奥の細みち
(二)純情軍国少年
 「戦友」のメロディ
 真珠湾の日
 戦闘機プロペラ工場
(三)最後の将校生徒
 振武台へ――陸軍予科士官学校
 八・一五の日記
(四)心の軍服を脱ぐとき
 人生論ノート
 死者に何を語るのか
 明日への総括
(五)回想の「三宅坂」
 左翼学生――社会党本部
 向坂村塾
第二章 冷戦と反安保
(一)反安保の群像
 安保は遠くなりにけり、か?
 安保反対国民会議
 日本列島が燃えた日
 いま「あの時代」を考える
(二)ドラマを刻んだ人々
 国民会議の人々――水口さんのこと
 宿命の国民運動委員長――飛鳥田さんのこと
(三)男泣きに泣かれたとき
 原水爆禁止運動分裂
 沖縄のこころ
(四)わが家の三つの宝物
 浅沼さんの万年筆
 一二カ条の憲法
 「天下無敵」
第三章 野党と与党
(一)革新自治体の時代
 初陣の合言葉
(二)野党共闘の春と冬
 政党間協議・五つのシーン
 いま思うこと
(三)消ころ美しき人たち
 はげましの絆
 幸せを求めて
 あとがき ―― 未来を拓く

まえがき ―― 私たちの生きた二〇世紀
 これは「私」の生きた日本であると同時に、同じ世代のたくさんの「私たち」が共に生きた日本の風景である。
 戦争と平和、資本主義と社会主義が激しく交錯した二〇世紀が終わり、いま新しい世紀の日々を刻んでいる。そこには同じ時代に生まれ、生きた多くの人たちの、戦争、動乱、喜び、悲しみの忘れがたい人生があった。そのドラマの一齣ずつを刻んでみたい。そういう意味で、これは無数の人々のなかの私という「小さな歯車」の記録である。未来への期待を込めながらそれを記録するのも世代の責任ということかも知れない。
 私たちの生きた時代の大部分は「戦争と平和」であった。私たちは、もの心ついたときから戦争のなかにいた。私の三歳のときには満州事変が、九歳で日中戦争が、一三歳で太平洋戦争が始まり、一七歳で陸軍予科士官学校へ、そして敗戦の色濃いなかで一八歳で「翼なき特別攻撃隊」で爆弾を抱いて死ぬであろう運命だった。まさに戦争のどまんなかでの純情軍国少年だった。たくさんの少年が共にその道を歩んだ。
 敗戦のあと、みんなが「心の軍服」を脱いで、焦土のなかから新しい平和の時代に情熱を燃やした。大戦の直後からいない。しかし未来への「糸口」はいま、いろんなかたちで生まれ育っている。
 キミはめずらしい経験者だなあ、と親友が私に言う。その意味は、戦後政治史に残る二つの大きな騒動、六〇年安保闘争と消費税論争と、前者では安保反対国民会議事務局次長として、後者では消費税反対法案の立案と提案者として、その両方の中心にいたヒト、そして動乱連立の時代には与党幹事長の一人として渦中にいたヒト、ということである。さまざまの秘話もあっただろう、と言われるのだが、それらを面白く描く才能は私にはない。また自分が生きた世界である社会党・社民党の転落への心の痛みが消えることもない。
 多くのことがすでに歴史となったいま、私たちの生きた時代をセンチメンタル・ジャーニーとして振り返ろうとは思わない。「過去」を総括し「いま」を見つめ「未来」を考えることが大切、と言われる。それがうまく出来たら、私たちの世代から近未来を担う世代の皆さんへのささやかなメッセージとなるのだろう。
 私は、同じ時代を共に生きた無数の歯車の一つとしてカチカチと動き、ときにはちょっとばかり目立ったときも経験させていただいた。しかし正直に振り返って、自分のやれたことはまこと

内容説明

55年体制崩壊の現場で見た戦後政治の転換点。人生の大半を社会党と政治革新のために燃焼しつくした著者が、60年安保、美濃部都政、細川内閣と自社さ連立党の内幕を語る。

目次

第1章 戦争と平和(「おしん」のふるさと;純情軍国少年 ほか)
第2章 冷戦と反安保(反安保の群像;ドラマを刻んだ人々 ほか)
第3章 野党と与党(革新自治体の時代;野党共闘の春と冬 ほか)
第4章 「乱」を超える(動乱連立―失われた一〇年;平和と有事と ほか)
終章 政治と人生(親と子と;夫と妻と ほか)

著者等紹介

伊藤茂[イトウシゲル]
1928年山形県生まれ。52年東京大学経済学部卒業。54年、社会党本部に勤務。安保改定阻止国民会議事務局次長、党中央執行委員・国民運動局長などを経て、76年に神奈川一区から衆議院議員に初当選。以後、社会党政策審議会長として消費税論争や野党連合政権競技などで活躍。さらに党副委員長、影の内閣副総理などを務めた。93年、細川内閣で運輸大臣として入閣。社民党への党名変更後、幹事長、副党首を歴任。連続当選8回を数えるが、2000年6月の総選挙を前に引退した
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