内容説明
本書で取り扱うテーマは「信仰・歴史・民俗」に関連する。人々の日常生活に根を張った実践的行為の解説である。ド・ブロスが定義した意味でのフェティシズムを「歴史知」と関連づけて論じ、日常生活者が衣食住をととのえてその日を生き抜く視座と方法を獲得するためのしたたかな自然観・社会観・知的体系であるところの「歴史知」を、人々の思考・行動様式におけるフェティシュ的な形態において確立し展開した。
目次
第1部 歴史知の原初的形態(Cultus―儀礼と農耕の社会思想史;関山神社・法定寺両石仏群探訪記;虐待される道祖神;秩父オオカミ信仰の民俗;原初的精神の落ち穂拾い)
第2部 歴史知のフェティシュ的形態(子どもの世界へ―日本神話から説き起こしてベンヤミン・ライヒ・カイヨワにおよぶ;隠喩としての母、および歴史知の逆説;フェティシスト・フォイエルバッハの偶像破壊;付録・フェティシュなフォイエルバッハ―フェティシズム論摘要)