歴史文化ライブラリー<br> エトロフ島―つくられた国境

歴史文化ライブラリー
エトロフ島―つくられた国境

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  • サイズ B6判/ページ数 222p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784642054782
  • NDC分類 211.9
  • Cコード C0320

内容説明

ラッコを獲って暮らすアイヌの千島列島は、エトロフを国境として江戸幕府に分断された。開発に駆り出される奥羽民衆、風俗改変を強いられるアイヌ。境界の島に渦巻く思惑と葛藤を見つめ、「国境」創出の意味を問う。

目次

アイヌの島
境界の島
エトロフ開島
エトロフ島襲撃事件
変容するエトロフ島

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アメヲトコ

6
日本領択捉島が成立する以前、近世の「エトロフ島」を描いた一冊。南下していくロシアに対して幕府が危機感を強め、しだいにエトロフ島を自国の北端として意識していく過程は、一方でアイヌから見ると本来一体だった世界が二つに引き裂かれる過程でもありました。一筋縄ではいかない問題です。2020/09/20

紙魚

2
日露和親条約において、エトロフ・ウルップ間に国境が画定したが、それはいかなる歴史的経緯によっていたのか。松前藩や幕府によるエトロフ進出、経営について述べられている。まさに近世における植民地。現地のアイヌや南下してくるロシアの動静も絡めながら、日本の北の国境がいかにして創出されていったかが説明されている。樺太の商場所とあわせて、近代以降の日露国境交渉の起点となるこの地域。日本人もロシア人も新参者としてやってきたことを弁えた上で、今後の交渉のためにも学ぶ必要があるだろう。2009/07/14

印度 洋一郎

1
副題の「つくられた国境」。これが本書の内容をよくあらわしている。本来千島アイヌ達が暮らす自由な世界だった千島列島に、18世紀頃からロシア人と日本人がやってきて、互いの勢力圏を作る過程で列島を分断していった。この時、エトロフが日本側の最前線となり、国境となっていく。この島を経営する幕府の政策は国防と先住民の同化という、正に明治以降の植民地支配の先駆だった。文化四年のロシア船の攻撃に際して、狼狽して敗走する日本人をアイヌ達が襲撃していたのは、日頃の行いへの報復だろうか。日本統治下でアイヌ人口も減少したという。2012/02/04

ネオジム坊

0
ラッコ漁から、サケ・マスへと、アイヌの経済構造が激変する。エトロフ島への日本主義的植民地戦略にあたり、松前藩から、幕府主導の北方警備に至る様が描き出される。田沼意次の重商主義と松平定信の北方警備が対置されるが、鎖国中の防衛戦略の予行演習は、ロシアの存在が大きかったのではないかという仮説も頭をもたげる。平和に懐柔政策に従事していた末端の役人(奥州武士)が、ロシアの襲撃を受けて、自害する。ロシアに対する幕府のプライドの高さ、それに対する諧謔が盛り込まれている。日本語で十分に楽しめる書物である。2018/08/22

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