内容説明
ひよどりごえの坂落しに愛馬を背負って下ったと伝えられるほどの豪力で、しかも誠実、思いやりのある畠山重忠は、鎌倉武士の典型と称せられる。本書はひよどりごえの一件は否定するけれども、重忠に関するあらゆる史料を博捜し、その美談・挿話の数々を検討しつつ、時代背景時に鎌倉武士社会の中に見事に描き出した出色の伝。
目次
おいたち
赤旗の下に
頼朝に従う
宇治川の合戦
一の谷攻め
音曲の才
囚人となる
奥州征伐
頼朝京都にゆく
永福寺の造営など
東大寺の復興
梶原景時の失脚
頼家の裁決
二俣川に死す
棺を蓋いて
しのぶよすが
後世に及ぼした影響
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mawaji
7
ツイッターで見かけた本書、「鎌倉殿の13人」36話「武士の鑑」で 非業の最期を遂げた中川大志もとい畠山重忠の人となりを再確認するために今更ながら手に取りました。討死の覚悟で二俣川に臨んだのは重忠が「誠実であることを貫くためには死も辞さぬ」忠恕の徳を積んでいたからに他ならなかったということなのでしょう。「悪いのは平賀朝雅と牧の方、それにうごかされた時政である」という記述にははげしく首肯せざるを得ませんでした。誠実で思いやり深く、気はやさしくて力もちという鎌倉武士を中川大志さんは見事に演じきったと思いました。2022/10/04
フランソワーズ
6
さすがに古いです。でも『歴史文化ライブラリー477 中世武士畠山重忠』の清水亮氏も、この本を参考にされているのがよくわかります。2022/10/04
金目
6
今年の大河ドラマに合わせ、人物像を把握するために一読。清廉潔白、情け深く、鎌倉武士の見本らしい人物であったろうことは否定しないながらも、北条氏からはことさらその面を強調される事情もあったことが分かる。また、数々の資料から大力であったことは間違いないが、有名な馬を担いだ鵯越の話は、事実としては否定される。意外だったのは、弓の名手としては全く名前が上がらないことから恐らく不得手であったろうということと、京都住まいの経験があり歌舞音曲の素養があったということ2022/02/19
だまし売りNo
5
畠山重忠は平安時代末期から鎌倉時代初期の武将で、坂東武士の鑑と称えられました。鎌倉幕府の有力御家人になりましたが、北条氏によって滅ぼされます。2019/07/13