出版社内容情報
(担当編集者より)
庶民にとって軍隊とは、アンビバレントな存在でした。死の可能性と除隊したあとの賞賛と成功。この本は、兵士の視線から軍隊生活と戦死について考えていきます。
今後問題になってくる戦死者の国立墓地問題について考える際に必要となる一冊です。
ぜひ一読をおすすめいたします。
<朝日新聞 2001年10月21日書評/川村邦光大阪大学教授>
「兵営に出世の夢とコメの飯あり」
「現在、戦争が始まっている。というより、今日にいたるまで、世界のどこかで戦争は続いているというべきだろう。兵士は何を思って戦っているのか。本書のテーマは国民が国民軍の兵士になるという「常識」の形成、それが「神話」となっていくプロセスを探ることであり、まさしく時宜をえた出版である。」
内容説明
村や町で生活する名もなき庶民は、いかにして兵士となっていくのか。規律と健康の強制、昇進を求めての競争。その果てに、ある者は無事除隊して故郷に迎えられ、ある者は戦場の露と消えて国家によって慰霊されていく。若者が軍隊生活によって、その身体に刻印していったものとは何なのか。兵士たちのライフサイクルから、国民軍の幻想性を描き出す。
目次
1 兵士になる―期待と願望(徴兵検査から徴兵へ;内務班教育と上等兵・下士官;村に帰った兵士たち)
2 健康と衛生―米を食べる心性(軍隊の食事―国家はどう決めたのか;軍医たちの兵食論争―脚気対策という科学主義;兵営の食事―兵食改善という科学主義 ほか)
3 死ぬということ―追悼の詩(日清戦争の死者たち;戦場の死をめぐって;「万骨枯る」空間―軍用墓地)
著者等紹介
原田敬一[ハラダケイイチ]
1948年大阪府に生まれる。1982年大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。文学博士。現在、仏教大学教授
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