内容説明
ファシズムの嵐が荒れ狂ったナチス統治の時代、ドイツ国民は何を考え、どう行動したのか?最新の史料を駆使し、単純な〈ヒトラー崇拝〉ではとらえきれない第三帝国の多元的な姿を、労働者・青年・農民など一般民衆の日常生活から解明し、ナチズム理解の新たな視角を提示する。
目次
ナチズムをどうみるか
労働者の日常生活とナチスに対する態度
労働者の反対行動と闘争
青年の生活と反抗
学校における日常生活
第三帝国における大衆文化と大衆消費
ナチス治下の農村生活
ナチス社会と民衆生活
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かずら
1
ナチス・ドイツにおける大衆の文化について書いた本。本題とは関係がないんですが、冒頭に「最近の若者は年上と飲みたがらない」という一文があって笑いました。若者はいつでも上司と飲みたくないのでは? それはともかく、この時期からすでにナチス=絶対悪という発想は批判されていたんだと再確認しました。ナチスが悪くないというわけではなく、ナチズムとそれにまつわる人を人外の何かのように扱うのは、歴史の本質を見失うということです。戦中の文化は終戦ギリギリまで結構豊かであったらしいです。(周辺国の犠牲のもとではありますが)2014/12/11
札幌近現代史研究所(者。自称)
0
ナチズム、ホロコーストなどの惨禍を矮小化し、「当時の民衆レベルの生活史」にこそこれからのナチズム、ヒトラー、第三帝国、第二次世界大戦などの研究の未来があると、日本のナチズム研究の先駆者が晩年に誤った袋小路に至った事を示している残念な著作に、個人的には感じられた。