内容説明
「テエベス百門の大都」と称えられた鴎外の教養は5歳からの漢学によって基礎を培われ、この幼学以来の漢学的素養の浩瀚が晩年の史伝の鴻筆に裨益したが、一方で鴎外は若き日から晩年に到るまで漢詩を能くした人でもあった。本書は、既にその漢詩に関する専著のある漱石に比しこれまで纏った言及の稀だった鴎外の漢詩を鑑賞評釈し、その漢学的素養と用語・師友にも及んだ初の研究書である。
目次
第1章 漢学的素養(経学;小学;医学;用語・用字)
第2章 評釈(伊沢蘭軒の詩;北条霞亭の詩;菅茶山の詩;頼山陽らの詩;漢語・漢文)
第3章 鴎外の詩(少壮期;従軍関係;皇室関係;題辞類)
第4章 師友関係(佐藤応渠;山県椿山公;石黒況斎;野口寧斎;横川唐陽)