内容説明
明治期以後、多くの日本人が海外に出向き、異なる文化に出会ってきました。人類学者もそのなかの一員です。この学問は、自分とは異なる人たちの文化を記述することに携わってきました。その方法は伝統的に野外調査を中心にしていて、生身の人間とじかに接して研究を行ってきたという、他の学問とは違ったえがたい特色をもっています。しかしまた、その生身の人間とはおもに植民地の住民であって、しがたって人類学は植民地を舞台に研究を進めてきたという一面ももっています。読者の皆さまには、こうした歴史を踏まえて、学術調査のありかたを考えるよすがになれば、と希望しています。
目次
人類学者の学的営み
1 学術調査の黎明期
2 植民地統治と研究調査
3 人類学者と海外調査
4 戦時下の人類学
著者等紹介
山路勝彦[ヤマジカツヒコ]
1942年東京生まれ。東京都立大学大学院社会科学研究科社会人類学専攻博士課程修了。社会学博士(関西学院大学)。関西学院大学社会学部教授。専攻、文化人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
6
「1925年11月、東京では今日の人類学につながる人類学関係の学会が組織され、機関誌『民族』が発行された。この雑誌が人類学的色彩をはらんでいたことは、一巻一号に…リヴァースの論文が岡正雄訳で掲載されたことから推量される…しかしながら、この雑誌には資料・報告・交詢欄に…毎号のように葬送儀礼や民間信仰、俗信や年中行事など、民俗にかかわる投稿が地方の読者からよせられ、内容的には民俗学と分かちがたく結ばれていた…論文を読んだ一読者のなかには内容本位にみて「民俗」としたほうがよいと感想をよせる人もあらわれてくる」2018/12/10