内容説明
人文・社会科学の都市論・都市研究の展開のなかで「空間」が分野の枠組みを超えて知のトポスとなっている現在、新たな都市地理学を構想するために必要な伝統と理論を紹介し、都市の社会‐空間を考えるための視座と方法を概説する。
目次
第1部 都市論の胎動(シカゴ学派都市社会学―近代都市研究の始まり;ヴァルター・ベンヤミン―遊歩者と都市の幻像 ほか)
第2部 街路の地理学(シチュアシオニスト―漂流と心理地理学;ミシェル・ド・セルトー―民衆の描かれえぬ地図 ほか)
第3部 都市景観の解釈学(ジェームズ・ダンカンとナンシー・ダンカン―テクストとしての都市景観;消費と都市空間―都市再開発と排除・監視の景観 ほか)
第4部 ポストモダンの地理学?(アンリ・ルフェーヴル―空間論とその前後;デヴィッド・ハーヴェイ―社会‐空間のメタ理論 ほか)
著者等紹介
加藤政洋[カトウマサヒロ]
1972年生まれ。2000年大阪市立大学大学院後期博士課程修了(地理学専攻)、博士(文学)。立命館大学文学部助教授
大城直樹[オオシロナオキ]
1963年生まれ。1980年大阪市立大学大学院後期博士課程単位取得退学。神戸大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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引用
2
集団としての人間をマネジメントする視点に立脚した学問なんだなと思う、シチュアシオニスト読解やラフェスタンの「生態的正義」「歓待」といった外部との関係など気になる収穫があった。フェティシズム(物神性)などマルクス主義を勉強して整理したい。2020/03/28
子音はC 母音はA
1
地理学と書いてあるが第一章からシカゴ学派が登場する辺りから地理学に社会学的視座が浸透してるのを思う。広範に様々な項目を捌いていて参照本としては重宝できる代物だった。まだまだ勉強が足りないのを痛感。日本に於ける景観論/風景論の議論の中身が知れてよかった。2014/07/10
yamikin
0
従来の地理学に多元性や空間の概念をより取り入れたポストモダン地理学のまとめ。読書ガイドがよい。日本はなぜか地理学の地位が低いので社会学のように「理論」もあまり知られおらず、明確な方法論も提示されていない。そんな時に本書は地理学を行う上での指針を示してくれるだろう。いろいろ研究アイディアが浮かぶ。ただ、参考文献は仏語が多いんだよなー2010/02/05