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死を生きながら―イスラエル 1993‐2003

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  • サイズ B6判/ページ数 289p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622070900
  • NDC分類 319.28
  • Cコード C1036

出版社内容情報

「雑音。この十年をふり返るとき、頭に浮かんでくる最初のことばはそれである。雑音だらけだった。銃声と怒声、挑発的なことば、悲しみに沈んだ嘆きの声、爆発、デモ、山ほどの決まり文句、テロ現場からの特別番組、報復を求める声、救急車の金属的なかん高いサイレンと、その上空を舞うヘリコプターの震動。毎回の事件のあと狂ったように鳴り響く電話のベル。だがこの旋風のような騒々しさのなかに、台風の目のような静けさがある。耳には聞こえないが、わたしの身体の隅々にそれが感じられる。それは悪い知らせを聞いてから実感できるまでのあいだ、殴られてから実際に苦痛を覚えるまでの短いあいだに感じるような沈黙である」

イスラエルとパレスチナ。二つの民族が一つの大地に共存することはできないのだろうか。本書は、エルサレム在住の作家が、この十年余をつぶさに観察した現場報告を中心にしている。1993年のオスロ合意調印からラビン暗殺、第二次インティファーダ、シャロン復活、9・11、イラク戦争、ロードマップ、2003年12月まで。リアルかつ希望を失わない41の文章は、かの地で起こっている現実を目の当たりにさせてくれる。イスラエル内部から「パレスチナ問題」を見つめた本書を、たとえばサイードの著作と並行して読むと、より立体的な像が浮き上がってくるだろう。


デイヴィッド・グロスマン(David Grossman)
1954年、エルサレムに生まれる。作家。ヘブライ大学で哲学と演劇を学び、1983年に長編小説『Hiuch Ha-Gedi(羊の微笑)』をヘブライ語で発表、創作活動に入る。他言語に訳された著作も多く『Ayien Erech: Ahavah(下を見れば愛)』(1986)はこれまで12言語に、『Yesh Yeladim Zig-Zag(ジグザグ・キッド)』(1994)は10言語に翻訳されている。並行して児童文学・青少年文学を手がけ、この領域で10点を越す作品がある。1987年に最初のノンフィクション『ヨルダン川西岸』(晶文社、1992)を発表。この他の邦訳に『ユダヤ国家のパレスチナ人』(晶文社、1997)がある。長年イスラエルの平和運動に参加、2003年のジュネーヴ合意には調印者の一人として関与した。2004年現在エルサレム郊外在住。

二木麻里 訳
1960年生まれ。上智大学外国語学部卒。訳書『ポパーとウィトゲンシュタインとの間で交わされた10分間の議論の謎』(筑摩書房、2003)共編著『「オンライン読書」の挑戦』(晶文社、2000)など。

内容説明

イスラエルとパレスチナ、二つの民族が一つの大地に共存することはできないのだろうか。本書は、エルサレム在住の作家が、この十年余をつぶさに観察した現場報告を中心にしている。1993年のオスロ合意調印からラビン暗殺、第二次インティファーダ、シャロン復活、9・11、イラク戦争、ロードマップ、2003年12月まで。リアルかつ希望を失わない41の文章は、かの地で起こっている現実を目の当たりにさせてくれる。

目次

オスロ合意調印―突然、人間的な接触が実現した(一九九三年九月)
カイロ合意とアラファトの帰還(一九九四年六月)
ホロコーストの記憶をはこぶ伝書鳩(一九九五年一月)
第二オスロ合意―イスラエルへの疑問(一九九五年四月)
ラビン首相暗殺(一九九五年十一月)
自爆テロのはじまり(一九九六年三月)
会談に臨むネタニヤフ首相へ(一九九六年十月)
マハネ・イェフダ市場の連続自爆テロ(一九九七年七月)
人生は誰のもの(一九九八年九月)
バラク首相のイスラエル・パレスチナ合意(一九九九年九月)〔ほか〕

著者等紹介

グロスマン,デイヴィッド[グロスマン,デイヴィッド][Grossman,David]
1954年、エルサレムに生まれる。作家。ヘブライ大学で哲学と演劇を学び、1983年に長編小説Hiuch Ha‐Gedi(『羊の微笑』)をヘブライ語で発表、創作活動に入る。並行して児童文学・青少年文学を手がけ、この領域で10点をこえる作品がある。長年イスラエルの平和運動に参加、2003年のジュネーヴ合意には調印者の一人として関与した。2004年現在、エルサレム郊外在住

二木麻里[フタキマリ]
1960年生まれ。上智大学外国語学部卒
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おおにし

17
(除籍本)図書館リサイクルで本書をもらって帰った数か月後にイスラエルのガザ侵攻が始まった。この本、図書館に残しておくべきだったのでは?本書では1993年のオスロ合意からの10年間の出来事がつづられているが、和平合意など初めからなかったように抗争が続いていたことが、著者の冷静な眼で記録されている。本書を読んで、ガザ侵攻という事態は遅かれ早かれ起きただろうと変に納得してしまった。左派知識人である著者は今どんな主張をしているのだろうか。2024/04/28

Masayuki Shimura

0
[癒しよ、何処に]略年表にして駆け抜けてしまうと、絶対に知り得ない、感受し得ない当時のなまなましい思いが凝縮されています。グロスマン氏は二国家解決を唱え、右派と呼ばれる人々の対パレスチナ政策に関して一貫して批判的な方なのですが、その立場に立脚する者ですらも、テロや暴力の連鎖の影響からは逃れられないんだなと(それ自体、その恐怖の中にある人からすれば当然と言われてしまうことなのかもしれませんが)感じました。2016/06/30

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