自由の精神

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  • サイズ B6判/ページ数 387p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622070580
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C1095

出版社内容情報

「好きな文章に出会うと、すぐそれを写したくなる癖が、わたしにはあるらしい。写していると、やがて自他の区別がつかなくなり、自分でも惚れ惚れするような名文を書いているという錯覚に陥ることがあるが、筆写にはそういうひそかな愉しみもある」(オーウェル「政治と英語」)

著者が文筆家としてデビューしたのは1963年春のことであった。それまでの6年間をアメリカとイギリスで暮らした著者は、戦後日本の転機となった「60年安保」を外側から体験していた。同時代をみつめる特有の視点、自由な精神に裏打ちされた著者独自の文章は、ここから生まれたといってよい。「政治は現実を語り、思想は理想を説き、かくして、その間に永遠の対立と緊張が存在する――、そういういわば散文的な現在の方が、政治社会の常態なのである。そして、政治と思想について、保守と革新について、現在わたしたちが考えをめぐらす場合に、その基礎におくべきものは、政治社会の常態であって、例外的な状況ではないように思うのである」(革新とは何か)

萩原延壽(1926-2001)の遺した文章から35篇を選んで一書にまとめた。「日本知識人とマルクス主義」「首相池田勇人論」など、主に『中央公論』誌上で展開した政治評論、先行する「歩行者」たる馬場辰猪や陸奥宗光・諭吉・兆民について、小林秀雄やアーネスト・サトウ、ミュージカルを描いた数々のエッセイや書評、〈リトリートの思想〉について、そして丸山眞男、藤田省三への思い。自由の精神を生きたひとりの知識人の軌跡をとどめる。


萩原延壽(はぎはら・のぶとし)
1926年東京に生まれる。東京大学法学部政治学科卒業。同大学院を経て、米国ペンシルベニア大学、英国オックスフォード大学に留学。帰国後、著述活動に専念。著書『馬場辰猪』(中央公論社、1967、第3回吉野作造賞)『書書周游』(文藝春秋、1973)『東郷茂徳――伝記と解説』(原書房、1985、吉田賞)『陸奥宗光』上下(朝日新聞社、1997)『遠い崖――アーネスト・サトウ日記抄』全14巻(朝日新聞社、1980-2001 第28回大佛次郎賞)。

内容説明

「革新とは何か」「福沢・中江・馬場」からオーウェル、丸山真男、“リトリートの思想”まで。自由の精神を生きた一人の知識人=萩原延壽の軌跡をとどめる35篇。

目次

人間と国
革新とは何か
日本知識人とマルクス主義
陸奥宗光小論
馬場辰猪の墓
福沢・中江・馬場
福沢諭吉
不朽の文字
岡義武『近代日本の政治家』を読む
ゲイツケルの死〔ほか〕

著者等紹介

萩原延壽[ハギワラノブトシ]
1926‐2001。東京に生まれる。東京大学法学部政治学科卒業。同大学院を経て、米国ペンシルベニア大学、英国オックスフォード大学に留学。帰国後、著述活動に専念。著書『馬場辰猪』(中央公論社、1967、第3回吉野作造賞)『東郷茂徳―伝記と解説』(原書房、1985、吉田賞)『遠い崖―アーネスト・サトウ日記抄』全14巻(朝日新聞社、1998‐2001、第28回大仏次郎賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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