大人の本棚
友と書物と

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  • サイズ B6判/ページ数 268p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622048299
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C1395

出版社内容情報

「人間も六十を過ぎるとその年月の間に得たもの、失つたもののことを思ふだけでも過去を振り返り、自分の廻りを見廻すのが一つの自然な営みになり、これは記憶も現在の意識も既に否定も反撥も許されなくなつたもので満たされてゐることであつてその中でも大きな場所を占めてゐるのが友達である。」

好きな書物を読み返すとは、書物を時間の流れに挿し入れて、そのなかの言葉に時間を注ぎこむことに他ならない。そして、ある一人と知り合い、それが友情へと育って、時間の流れのなかで友は友となってゆく。そう、吉田健一において書物と言葉と友とはいわば円環をなすようにたがいに結びついている。その円環をとおして滑らかに流れているのが《時間》なのである。

『交遊録』『書架記』を軸に選び抜かれた吉田健一世界の精髄。

シリーズ《大人の本棚》の一冊


書評情報:
毎日新聞 2002.7.14 清水徹さんによる


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吉田健一(よしだ・けんいち)
1912年、東京生まれ。暁星中学校卒業後、ケンブリッジ、キングズ・カレッジに入学。帰国後アテネ・フランセ卒業。『文学界』を中心に評論を発表。1939年、伊藤信吉、山本健吉、中村光夫らと『批評』を創刊し、名義上の編集発行人となる。1949年より国学院大学非常勤講師として文学概論を講じ、1958年、大岡昇平らと季刊誌『声』を創刊、「英国の近代文学」「文学概論」などを連載。1963年より1969年まで中央大学文学部教授、英文学を講じる。1970年、『ヨオロツパの世紀末』(新潮社)で野間文芸賞受賞。以後、『瓦礫の中』(中央公論社、1970、読売文学賞・小説賞受賞)『絵空ごと』(河出書房新社、1971)『金沢』(河出書房新社、1973)『東京の昔』(中央公論社、1974)などの小説や、本書にその一端を収めた独自のエッセーで多くの読者を得た。『覚書』(青土社)『時間』(新潮社)絶筆となった『変化』(青土社)などその極致といえよう。『思ひ出すままに』(集英社)を刊行した1977年8月、肺炎のため東京の自宅で逝去。


清水徹(しみず・とおる)編・解説
1931年、東京生まれ。東京大学大学院仏語仏文学専攻修士課程終了。元明治学院大学文学部教授。著書 『廃墟について』(河出書房新社、1966)『読書のユートピア』(中央公論社、1977)『書物の夢 夢の書物』(筑摩書房、1984)『書物について』(岩波書店、2001.歴程賞、読売文学賞、文部科学大臣賞受賞)など。訳書 ビュトール『心変わり』(河出書房新社、1959)『時間割』(中央公論社、1967、クローデル賞受賞)カミュ『シーシュポスの神話』(新潮社、1969)デュラス『愛人』(河出書房新社、1985)『ヴァレリー全集』(編集・分担訳、筑摩書房、1967-1983)『マラルメ全集』(編集・分担訳、筑摩書房、1989- )など。

内容説明

友達がいるということの喜びを覚えさせてくれた友達、読んだ場所も記憶に結びついている本。時間の流れのなかで「交遊」をとおして成熟してゆく心の営み。

目次

牧野伸顕
G.ロウェス・ディツキンソン
F.L.ルカス
本のこと
大衆と文学
大きな魚
「悪の華」
エリオツト・ポオルの探偵小説
マルドリュス訳の「千夜一夜」
ホレス・ワルポオル
不思議な国のアリス
思ひ出すままに(抄)
何も言ふことがないこと

著者等紹介

吉田健一[ヨシダケンイチ]
1912年、東京生まれ。暁星中学校卒業後、ケンブリッジ、キングズ・カレッジに入学。帰国後アテネ・フランセ卒業。『文学界』を中心に評論を発表。1939年、伊藤信吉、山本健吉、中村光夫らと『批評』を創刊し、名義上の編集発行人となる。1949年より国学院大学非常勤講師として文学概論を講じ、1958年、大岡昇平らと季刊誌『声』を創刊、「英国の近代文学」「文学概論」などを連載。1963年より1969年まで中央大学文学部教授、英文学を講じる。1970年、『ヨオロツパの世紀末』(新潮社)で野間文芸賞受賞。以後、『瓦礫の中』(中央公論社、1970、読売文学賞・小説賞受賞)などの小説や、本書『友と書物と』にその一端を収めた独自のエッセーで多くの読者を得た。1977年8月、逝去

清水徹[シミズトオル]
1931年、東京生まれ。東京大学大学院仏語仏文学専攻修士課程修了。元明治学院大学文学部教授。著者に『書物について』(岩波書店、2001、歴程賞、読売文学賞、文部科学大臣賞受賞)、『時間割』(中央公論社、1967、クローデル賞受賞)など
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぱせり

11
著者が本当に好きな本、忘れられない本ばかり、または本の周辺のあれこれ。とても自由。読書の豊かさ、土台となる土壌の豊かさにくらくらする。自分があまりに浅学すぎて、ついて行けていけていないと冷や汗。子どもの読書や、翻訳について語られた部分が心に残る。ゆっくり読めば、お腹の底から温められ、ふつふつと読書の喜びが湧き上がってくる。 2016/11/16

ヒルデ

0
大人と子供のあり方についての考えがいい。痒いところに手が届いた気分だ。2012/05/08

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