心の影〈1〉意識をめぐる未知の科学を探る

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  • サイズ A5判/ページ数 248p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622041269
  • NDC分類 007.1
  • Cコード C1040

出版社内容情報

人間の心はなぜ存在するのか。心は脳という生物的器官に固有のものなのか。意識現象を科学で理解することはできるだろうか。人間と等価の意識をもつロボットの製造は可能か。われわれはなぜここにいて、宇宙について、心について考えているのか。

著者ペンローズは、宇宙論に関するS・ホーキングとの共同研究によっても知られる数学者。ベストセラーとなった前著『皇帝の新しい心』では、人工知能(AI)を「裸の王様」と喝破した。その主張は激しい論議を巻き起こし、多くの反論を呼んだ。それらの異論に答えるとともに、心の理解に必要な未知の科学を提示するために書かれたのが本書『心の影』である。

ペンローズは、人間の脳は単なる計算機械ではなく、コンピュータには、意識をシミュレートすることさえできないと考える。脳には、瞬時に状況を把握する能力があり、その能力を司るニューロン活動の背後には、アルゴリズムを超えた非計算的過程を宿すメカニズムがあるはずだというのである。

 ――では、そのメカニズムとは。著者によれば、ニューロンの細胞骨格の存在する微小管内部で起きている大規模な量子コヒーレントな振る舞いこそが脳の非計算的活動を理解する鍵となる。だが、その活動を解明するには現在の物理学を根本から変革しなければならない。それは、ビッグバンに始まる宇宙の全歴史を理解することに通じるというのだ。 物質的世界、心の世界、プラトン的世界をめぐって著者の唱える未知の物理学――量子重力論――の姿がここに鮮やかに示される。

Roger Penrose(ロジャー・ペンローズ)
1931年、英国エセックス州コルチェスターに、遺伝学者ライオネル・ペンローズの子として生まれる。ロンドン大学、ケンブリッジ大学セント・ジョンズ・カレッジで数学を学ぶ。ロンドン、ケンブリッジ、プリンストン、シラキューズ、テキサス、コーネル、ライスなど英米の諸大学で教鞭を執ったのち、1973年以降、オクスフォード大学ラウズ・ボール記念教授職にある。1972年、王立協会会員に選出される。宇宙論におけるペンローズの定理をはじめとして、物理学・数学の多くの業績があり、王立協会メダル、アインシュタイン・メダル、イギリス物理学学会ディラック賞などを受けたほか、スティーヴン・ホーキングと共同でエディントン・メダル、ウルフ物理学賞を受賞している。

訳者:
林 一(はやし・はじめ)
1933年、台北市に生まれる。1958年、立教大学理学部物理学科卒業、現在、昭和薬科大学名誉教授。物理学、科学史専攻。著書『薬学のためのアリバイ工作』(海鳴社)、『中国医学は現代科学を覆すか』(朝日新聞社)、『幻想交響学』(日本評論社)、『シュレーディンガーのアヒル』(青土社)、『日本の薬学教育』(日本評論社)、訳書 イスラム『宇宙の未来はどうなるか』(岩波書店)、ナーゲル=ニューマン『数学から超数学へ』、ホフスタッター『ゲーデル・エッシャー・バッハ』(いずれも白揚社)、ホーキング『ホーキング、宇宙を語る』(早川書房)、ペンローズ『皇帝の新しい心』、バロー『万物理論』(いずれもみすず書房)、ドイッチュ『世界の究極理論は存在するか』(朝日新聞社)ほか多数。

内容説明

前著『皇帝の新しい心』につづき鬼才ペンローズが放つ“心”の理論。人間の脳はコンピュータでシミュレートできるか?科学によって意識を探る道はあるか?新しい物理学の世界への誘い。

目次

第1部 心の理解になぜ新しい物理学が必要なのか―意識的思考の計算不可能性(意識と計算(心と科学;ロボットはこの面倒な世界を救うことができるか? ほか)
ゲーデル的論法(ゲーデルの定理とテューリング機械;計算 ほか)
数学的思考における計算不可能性の論拠(ゲーデルとテューリングは何を考えたのか?;不健全なアルゴリズムは数学的理解を可知的な仕事でシミュレートできるか? ほか))

著者等紹介

ペンローズ,ロジャー[ペンローズ,ロジャー][Penrose,Roger]
1931年、英国エセックス州コンチェスターに、遺伝学者ライオネル・ペンローズの子として生まれる。ロンドン大学、ケンブリッジ大学セント・ジョンズ・カレッジで数学を学ぶ。ロンドン、ケンブリッジ、プリンストン、シラキューズ、テキサス、コーネル、ライスなど英米の諸大学で教鞭を執ったのち、1973年以降、オクスフォード大学ラウズ・ボール記念数学教授職にある。1972年、王立協会会員に選出される。宇宙論におけるペンローズの定理をはじめとして、物理学・数学の多くの業績があり、王立協会メダル、アインシュタイン・メダル、イギリス物理学学会ディラック賞などを受けたほか、スティーヴン・ホーキングと共同でエディントン・メダル、ウルフ物理学賞を受賞している

林一[ハヤシハジメ]
1933年、台北市に生まれる。1958年、立教大学理学部物理学科卒業。現在、昭和薬科大学名誉教授。物理学、科学史専攻
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感想・レビュー

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赤い熊熊

1
心はコンピュータで創ることがてきるか。という問題にペンローズは否と答えます。論理的な計算では正しいのか正しくないのか判断できない問題が存在するという定理があるけれど、そんな問題の真偽を判定しているんだから、ヒトの心は計算を超えたことをしている。なるほどと思わされるのです。真っ当だなと。じゃあヒトの心の解明がどうして量子力学に関係してくるのか、それは2巻を読んでみなくてはです。近年、ペンローズの脳に関する著書が見かけられないところ、もしかしてペンローズの説は座礁してしまったんでしょうか。2014/07/20

親橋白金(実は加藤國康)

0
脳機能の量子論。科学は事実に直進する。「コンピューターによるシミュレーションが原理的に不可能な活動がありうることを,今日の物理学は認めているのだろうか.……現在知られている物理法則の外部の,物理学のある領域の中には,このような非計算的な活動が見つかるはずだというのが私(ペンローズ)の強い意見である.」なんたる怪。なんたる快。2008/06/19

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