1995年1月・神戸―「阪神大震災」下の精神科医たち

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  • サイズ A5判/ページ数 263p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784622037972
  • NDC分類 369.31
  • Cコード C0036

出版社内容情報

1.17から1ヶ月、被災地では何が起ったのか。精神科医ら39人が綴る内側からのドキュメント。

中井久夫(なかい・ひさお)
1934年奈良県に生れる。京都大学医学部卒業。現在 甲南大学文学部人間科学科教授。著書『中井久夫著作集――精神医学の経験』全6巻別巻2(岩崎学術出版社、1984-91)『最終講義――分裂病私見』(みすず書房、1998)ほか多数。訳書にエレンベルガー『無意識の発見』上下(共訳、弘文堂、1980)のほか、みすず書房からはサリヴァン『現代精神医学の概念』『精神医学の臨床研究』『精神医学的面接』『精神医学は対人関係論である』『分裂病は人間的過程である』、ハーマン『心的外傷と回復』、バリント『一次愛と精神分析技法』、さらに『現代ギリシャ詩選』『カヴァフィス全詩集』『リッツォス詩集 括弧』、ヴァレリー『若きパルク/魅惑』などが刊行されている。最近作にはヤング『PTSDの医療人類学』(共訳)『エランベルジェ著作集』(全3巻)がある。

内容説明

半ば火にあぶられたオリーヴの木、水分をしたたかに含んだこの一本のオリーヴが、火元の病院から風下の家を守った。「この木のおかげで私の家は焼けなかったのですよ」と狭い小路からおばさんが出てきて言った。この病院の47名の患者と院長の母堂とは、当直医1名ナース2名他1名より成る職員の努力で、全員救出された。

目次

震災下の精神科救急
阪神大震災・神戸大精神科を応援して―九大精神科の場合
災害がほんとうに襲った時
被災地のカルテ
心的外傷反応に対処する―心理教育的アプローチの試み
震災私記―非日常と日常とをつなぐもの
震災後の清明寮にて
阪神大震災における看護部の対応―特にメンタルヘルス・ケアの観点から
災害時の院長日記
それぞれの場所で〔ほか〕

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Ted

4
2ヶ月後に出版されたため、完成度の点で拙速の感は否めないが、それが逆に震災後の混乱した状況を生々しく追体験させる効果を生んでいる。救助や外科的治療や物資といった「目に見える支援」に比べて心の傷は見えないため、精神的ケアはとかく軽視されがちだが、生涯に亘ることを考えればもっと重視されてよい。また、自衛隊や警察・消防等で活躍する人達は「救助者」という立場上、弱音が吐けない分、余計に精神的ダメージが深刻だと想像されるため、精神科医たちの一層の活躍が今後期待される。これから従事する者にとっては必読の書といえよう。2011/04/11

こばゆ

3
中井久夫逝去の報に触れて。文体も分量も肩書きも視点も様々の、そのいずれも興奮さめやらぬ手記を集めて95年3月24日に初版が発行されている。まだ生々しい熱を持っている文章の中で中井久夫の「災害がほんとうに襲った時」はごく個人的な手記なのにその興奮を一歩離れて見ている温度感であるようにも感じる。「最初の一撃は神の振ったサイコロであった。」大規模災害のただ中では被災者を救護する人もまた被災者である。悲しみ、怒り、無力感と、それでも責務を果たそうとする力と。絶版になっているのが本当に惜しい。2022/10/31

takao

2
ふむ2024/01/08

monashi

0
電子版をば2011/06/04

TTK

0
有効なことをなしえたものは、すべて、自分でその時点で最良と思う行動を自己の責任において行ったものであった。……指示を待った者は何ごともなしえなかった。統制、調整、一元化を要求した者は現場の足をしばしば引っ張った。p.23 ▼ 総じて、役所の中でも、規律を墨守する者と現場にニーズに応えようとする者との暗闘があった。非常にすぐれた公務員たちに私は陰に陽に助けられた。その働きさえ記すことのできない彼らのためにこの一行を記念碑として捧げたい。p.302023/06/06

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