内容説明
『フィールド・オブ・ドリームス』『ダンス・ウィズ・ウルブス』『フォレスト・ガンプ』『ポカホンタス』『ヘラクレス』…。分裂の危機にあるといわれる現代アメリカ。この危機をアメリカ人たちはいかにして乗り越えようとしているのか。本書は、その推進力の鍵となるアメリカ的想像力/創造力をこれらの映画のなかに見出し、わかりやすく説いてゆく。現代アメリカの動向を考えるうえでも、またアメリカ映画を観るうえでも、有益な一冊。
目次
序論 新しいアメリカへの予感―ポスト・アメリカ衰退論への招待
第1章 歴史の中の現代アメリカ―アメリカ映画の発信源
第2章 分裂の危機の時代を超える鍵―アメリカ流危機管理術と映画
第3章 歴史という舞台装置―対話する過去と現在
第4章 二つの世界の狭間に生きる主人的たちの創造―分裂の危機の時代の想像力
第5章 二一世紀アメリカの水先案内人探しの行方
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
103
映画で見たアメリカ社会の現状ということでしょうか?序論と第1章でアメリカの60年代から80年代についてのおさらいをして、アメリカの映画を引き合いに出しての社会論のような感じです。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「フィールド・オブ・ドリームス」「フォレスト・ガンぷ」など結構見た作品を通じての社会論でこのような授業もいいのではないかと思いました。2016/05/12
skunk_c
55
1998年というから、もう四半世紀近く前の書。近年アメリカ文化に関する興味深い本を中公新書で連発している著者のデビュー作で当時は30代末。したがって感覚に若さを感じる。前半はアメリカの1960年代~80年代の社会の変容、後半は80年代以降のいくつかの映画の解釈。取り上げる作品は様々な意味で分裂傾向の強まっていたアメリカ社会に対し、それをなんとか統合しようと試みている作品と著者が評価しているもの。いわゆる映画評論ではなく、あくまでもアメリカ社会の抱える問題を映画に映し出して考えようとするスタンスが面白い。2022/02/18
nukuteomika
1
実質的にはアメリカ通史。新書ながら過不足なくまとまっている印象。2010/02/22