内容説明
誕生以来120年、今や国際舞台で確固たる地位を築き上げた“円”。この円の国際化にいたる道のりを「日本銀行の創設」、「金本位制の導入」、「360円レート時代」、「円の切上げ」など、歴史的出来事でたどると共に、各時代や社会の様々なエピソード―アンパン一個5厘也、夏目漱石先生の月給は80円、自転車一台250円也、長嶋茂雄の契約金は2千万円、等々―を通して、波瀾万丈の道を経て大きく成長してきた日本経済の歴史と、将来を眺望する。
目次
第1章 円の少年時代(円の誕生;経済発展を担う人々;金融機関の整備;日本銀行の創設;明治の文化を創る人々)
第2章 動乱にゆれる円―金本位時代(金本位制の導入;第一次大戦と円;金輸出解禁;第二次大戦と円)
第3章 円の復興―360円時代(戦後インフレ;360円レートの設定;高度成長を支えた人々;円切上げへの道)
第4章 国際舞台にたつ円(70年代の円;80年代上期の円;プラザ合意と円高;円高と物価;80年代における金融政策;円の国際化)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
高橋 橘苑
13
円の歴史を概観した経済史。円は戦前は一貫して減価の歴史で、インフレ体質であり、世界的な信用に乏しかった。戦後の円の歴史は次第に体力をつけ、パックスアメリカーナを経済分野で脅かし、別の意味ではそれを補完し、ドルの凋落を支え続けたといえる。各国のエゴと力の象徴である通貨体制であるが、何度かアメリカ以外の国に助けられたりもしている。73年の石油ショックで円の暴落が止まらなかった時に、サウジに10億ドル借款して持ち直したりしている。現在の国際通貨安競争も、もはや経済の戦争であるが、さてどうなるんだろう。2015/04/26
Tomohiro_Y
2
江戸末期からはじまり、明治、大正、昭和、バブルがはじけた初期の平成までの円の歴史を説明しています。江戸末期から戦後の新円切替えまでが個人的には面白かったです、あまり旧円に関する書物を読んだことがないので。 江戸時代の両替商の意義と戦後日本のインフレを、簡単でもいいので知れてよかったです。2013/10/28