出版社内容情報
おみくじ引きをはじめとするヤマガラ芸の歴史をたずね、そのしくみと調教の方法を行動学的に明らかにしつつ、見世物の本質、日本人の動物観や笑いの構造におよぶ。
内容説明
“おみくじ引き”をはじめ、今は失われたなつかしいヤマガラの芸をたずねて歴史を渉猟するとともに、芸のしくみと調教の方法を動物行動学の視点から明らかにする。著者の関心は鳥の飼育史全般、動物芸一般、さらに発展して日本人の動物観や見せ物芸の本質、笑いの構造におよび、動物と人間との深くゆたかな関わりの世界を描く。
目次
序章 ヤマガラを知っていますか
第1章 芸鳥への道
第2章 芸を仕込む鳥から見せる鳥へ
第3章 ヤマガラ芸の盛衰と消失
第4章 ヤマガラ芸の種類と特徴
第5章 日本人にとっての動物芸
第6章 隣国の影響
第7章 動物芸の構造
第8章 動物芸の醍醐味
著者等紹介
小山幸子[コヤマサチコ]
東京に生まれる。大阪大学大学院人間科学研究科修士課程修了。1995年、理学博士(東京大学)。動物行動学専攻。現在、Indiana大学化学科研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よなよなこうもり
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前半は芸の解説を方法から行われた背景まで、後半は見せ物としての芸と行動学メインでした。 飼育は種類・食事・環境・行動全ての知識を持ち合わせていないと出来ない事を改めて感じました。その延長にあるものが芸でもあるんですね。 ヤマガラが特別人慣れした鳥になった理由も解決しました。 イギリス・中国との動物感の違いによる芸の差も面白かったです。2015/03/23
志村真幸
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本書は、ヤマガラの芸について多角的に調査研究したもの。江戸期から昭和後期にいたるまで、どのような芸が行われていたかを多数の図をまじえながら説明し、さらにどのようにして芸を覚えさせるかを動物行動学の立場から解析してみせている。 イギリスや中国、韓国の動物の芸と比較し、文化的な差異にまで踏みこんでいく。さらには、動物に芸をさせることが、なぜ見世物となり、ひとびとを楽しませるのかといった問題まで。 ヤマガラに関する第一級の研究であるとともに、「動物の芸」について、深いところまで理解することができた。2022/04/05