出版社内容情報
在日朝鮮人と生活保護の問題は、戦後日本における排外主義の標的となってきた。はたしてそれは「不適正」な「特権」なのだろうか。さまざまな歴史資料から在日朝鮮人の苦難に満ちた暮らしを描きだし、生活保護制度からも排除されていった事実を明らかにする。南北分断、朝鮮戦争、北朝鮮への帰国、高齢者の無年金問題などを経て、現在まで続く民族差別と貧困の道のりをたどる。
内容説明
これは「特権」なのか。いまも続く排外主義をのりこえるために、苦難にみちた生活と運動の歴史をたどる。根拠のないヘイトスピーチへの反証。
目次
序章 在日朝鮮人と生活保護
第1章 解放と失業
第2章 朝鮮戦争下の生活問題
第3章 生活保護制度と外国人
第4章 生活保護獲得闘争の展開
第5章 生活保護行政の「適正化」対策
第6章 外国人被保護世帯への全国一斉調査
第7章 民衆の生存危機と抗議陳情
第8章 帰国運動/帰還事業のなかの生活困窮者
終章 戦後日本における在日朝鮮人の生活困窮
著者等紹介
金耿昊[キムキョンホ]
1984年、神奈川県生まれ。在日朝鮮人三世。東京学芸大学教育学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。学習院大学国際教育研究機構PD共同研究員を経て、現在は横浜市史資料室調査研究員、東京学芸大学非常勤講師。専門は、在日朝鮮人史、日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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singoito2
8
「福音と世界」きっかけ。戦後10年間の在日朝鮮人の貧窮を巡る制度や運動体、、国際社会の動向などを、バランス良く、抑制のきいた筆致で語っている。その冷静な筆致が逆に、日本政府やマスコミのブラック企業どころかヤーサンばりの理不尽を透視させている。最近、外国人技能実習制度の見直しと外国人労働者への門戸拡大が議論されているけれど、それ自体の是非にあわせ、景気変動や労働力需給の逼迫度に関わりなく責任ある受け入れをする覚悟が日本人にあるのか、という問いとしてこの書は立っている。一読の価値ある良書。2023/04/20
takao
2
ふむ2023/05/09
あみちゃんこ♀
0
ヤフコメでよく炎上してる"在日朝鮮人と生活保護"について気になってたので図書館で借りた。著者が在日朝鮮人3世なので、そちら寄りになるのは当然だが、私もこの調査結果が妥当と考えるのが自然かなと感じた。