サピエンティア
パスポートの発明―監視・シティズンシップ・国家

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  • サイズ B6判/ページ数 324p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784588603044
  • NDC分類 329.9
  • Cコード C3330

出版社内容情報

国民の移動手段を独占的に掌握するのに決定的な役割を果たしたパスポート、その国際的なシステムの確立過程と現代的意味を問う。

内容説明

旅券が解き明かす個人のアイデンティティと国際国家システムの形成。

目次

序論
第1章 往来―国家による合法的な「移動手段」の独占化について
第2章 「祖国の見張り番」―フランス革命におけるパスポート問題
第3章 アウゲイアースの家畜小屋の大掃除―移動の自由へ向かう一九世紀の傾向
第4章 「甲殻類型国家」に向かって―一九世紀末から第一次世界大戦にかけての身分証明書の増加
第5章 国民国家からポスト国民国家へ?―大戦間期から戦後におけるパスポートと移動に対する制限
結論

著者等紹介

トーピー,ジョン・C.[トーピー,ジョンC.][Torpey,John C.]
1959年生まれ。カリフォルニア大学アーヴァイン校の社会学助教授、ブリティシュ・コロンビア大学の人類学・社会学・ヨーロッパ研究学科の准教授を歴任。現在、ニューヨーク州立大学大学院の社会学教授。カリフォルニア大学バークリー校から、社会学の博士号を取得

藤川隆男[フジカワタカオ]
1959年生まれ。現在、大阪大学大学院文学研究科教授。オーストラリア研究、ホワイトネス・スタディーズなどの研究をおこなう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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hika

2
パスポートの歴史というより、パスポートを通じた近代国民国家のシステムの確立の一側面について。フーコーの監視の議論を進展させ、国家が国民を「掌握する」システム、そこに生まれる近代的な「個人」の分析。移民や移民規制について。特にパスポート制度の確立の過程が国民国家形成の過程と密接に関連しているという著者の分析は興味深い。監訳者も指摘しているが、個別の歴史の分析には疑問点も散見されるが全体的には質の高い分析2009/10/29

wang

1
移動の自由を国家が独占している。そのことはパスポートによって象徴されている。パスポートの理念的な意味を歴史を追うことで確認するのが本書。フランス革命期にコスモポリタニズムにより全ての人間に移動の自由が保障されるべきとして、パスポートに類するいかなる身分証明書類も廃棄する理想主義と、国家や地域の安全を保証するためによそ者(foreigner)が何者であるのかを明らかにするパスポートの所持を強制したい地域住民や官公署の役人の綱引きにより短期間の間にパスポート制度が揺れ動くのが興味深い。2021/07/15

takao

1
ふむ2020/10/01

メルセ・ひすい

1
ドイツ発で15世紀は一部のエリートにだけ発行されていた。市民は生きるのがやっとで外国なんてとんでもなかった。日本なんざ・・キリスト教は邪教として鎖国が続き、特に江戸時代は檀家制度で坊主が江戸幕府の命令で「キリシタン宗門改め」により完全な『宗門改帳』が作られており、世界でもまれな住民記録・現在で言えば住民票。キリスト教厳禁政策の効用である『宗門改帳』は世界史として極めて珍しい「人類の遺産」ともいうべき超貴重な史料である。日本はまぐれで凄い! 鎖国政策が無ければ『宗門改帳』をもとにパスポートなんかすぐ作れたね2009/04/16

Mealla0v0

0
パスポートという制度が近代国民国家にとってどのような機能を演じて来たのかを分析した本書は、「生産手段」「暴力手段」の国家による収奪に並び立つものとして、「移動手段」の合法的独占化を問題化する。パスポートが今日のようなものとして組織されるのは、それが移動する人口の管理という統治のためである。国家はあらゆる人間の身元を確認することで国民/非‐国民かを知る。かくして我々/彼らの分断は秩序化され、諸国民国家はパスポートを国際システムに位置付けた。となれば、なるほど、パスポートは統治と主権を二重に受けた制度なのだ。2017/08/14

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