出版社内容情報
ヘーゲル哲学を批判・解体しながら,近代社会が孕むあらゆる問題を提起した,その多様かつ独自な批判的思想の広がりと運動,歴史と可能性.問題性を鋭く追求する。
内容説明
国家と社会、宗教とイデオロギー、法と文化、社会変革と個人の自由、人種と民族、疎外と実存、歴史と現代等々近代社会が孕む殆どの問題は、ヘーゲル左派によって提起され,追究された。その多様かつ独自な批判的思想と運動の内実を明らかにし、思想的遺産を復権する試み。
目次
1 哲学・思想(フォイエルバッハの非哲学の哲学;ヘーゲル批判の思想圏―シェリング、バウアー、フォイエルバッハと疎外論;シュティルナー哲学のプロブレマーティク;ヘーゲル左派と若きローレンツ・シュタイン)
2 社会・運動(ルーゲとフランス―ヘーゲル左派と独仏関係;義人同盟とヘーゲル左派―ブルンチュリ報告書を手掛りに;ブルーノ・バウアーにおけるヘーゲル左派の総括;エドガー・バウアーの思想的転回)
3 歴史・民族(ブルーノ・バウアーと3月革命―もう一つの「市民を求めて」;ブルーノ・バウアーの反ユダヤ主義―後期バウアー研究のために;後期モーゼス・ヘスにおける民族的世界の復権)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
9
表紙の中でシュティルナーだけ有名なやつだがクオリティ激低の似顔絵。ヘーゲルの後を継いだ者達のうち、左派と括られるフォイエルバッハやヘスなどに関する論集。文献がそもそも豊富にない分野なので貴重だけど、何より大部分を占めるブルーノ・バウアーの変遷が興味を惹く。本書によれば、ヘーゲル左派内部での論争を避けて戦線統一に努めたバウアーは市民という主体に期待し革命が失敗すると、市民が悪いんだと失望混じりの叱責を連発。保守転向を果たし、「保守主義内に反ユダヤ思想が浸透したとすれば…主にバウアーの努力」が原因と言われる。2022/03/01