内容説明
『水滸伝』では石の下に封印されていた星の化身たちが解き放たれ、『西遊記』では孫悟空が石から生まれ、『紅楼夢』では天界で女神に見捨てられた石が人間界に下る。すべては石から始まるのだ。別名『石頭記』=「石の物語」とも呼ばれる『紅楼夢』を織りなすテクスト相関性―古代からの石伝説やテクストが時をこえて協奏し、いま“石の物語”として、新たな物語論、テクスト論、フィクション論を創造する。
目次
第1章 テクスト相関性と解釈
第2章 石の神話辞典(意味論的考察;女〓(か)と石 ほか)
第3章 石と玉―虚構性から道徳性まで(聖なる豊穣の石;美玉 ほか)
第4章 石の物語―矛盾と制約の諸問題(矛盾と制約の諸問題;通霊石と頑石―神知をもつ石と無知な石 ほか)
第5章 欲と空のパラドクス―テクスト相関のなかの石猿(好色な猿―中国とインドからの引用;民間伝承の石の過渡性 ほか)
第6章 文字を刻んだ石碑
著者等紹介
ジンワン[ジンワン]
マサチューセッツ工科大学教授。マサチューセッツ大学アマースト校で比較文学研究によりPh.Dを取得後、デューク大学で中国語中国文学を担当した後、2001年よりMITで中国文化研究・比較メディア研究の教授を務める
廣瀬玲子[ヒロセレイコ]
専修大学文学部教授。専門は中国文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hiroki Nishizumi
2
ほぼ論文で、馴染めなかった2018/07/27
りゃーん
0
晩年の林達夫はロシア文学を学び出し、その総体を<森の文学>と名付けた。 本書はまさに中国文学を<石の文学>と名付けたいような意気込みで始まる。 現在の日本のアニメや漫画において、出どこがハリウッドやディズニーではない、つまり幾原邦彦の「輪るピンクドラム」や「ユリ熊嵐」の連環構造やエロティシズム、永野護のFSSにおけるデカダンスや退廃性の元はオレはどうにも「紅楼夢」ではないか、という疑問に本書は答えを出してくれた。 それ以外にも孫悟空のモデル、インドのハヌマーン説や「水滸伝」における前半のヴァイオレンス節と2015/02/04