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近代日本語の思想―翻訳文体成立事情 (新装版)

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  • サイズ B6判/ページ数 252p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784588436178
  • NDC分類 810.4
  • Cコード C1081

出版社内容情報

日本語文体は近代以後,翻訳によりつくられた──大日本帝国憲法に象徴される翻訳悪文を分析し日本語文の欠陥を摘発し,問題点を抉る日本語の文体は近代以後,翻訳によってつくられた――大日本帝国憲法に象徴される翻訳悪文の系譜を分析して日本語文の欠陥を摘発し,日本の思想の問題点を抉る。

第一章 「主語」は翻訳でつくられた

 序 憲法の問題

 1 悪文、大日本帝国憲法

 2 それは、翻訳のせいだった

 3 明治憲法以前の主語の翻訳

 4 教育の場での翻訳

 5 「?ハ」構文の文法――三上章説を中心に

 6 「?は」と「?が」



第二章 「主語」はこうしてつくられた

 1 論文における「主語」

 2 「主語」の文法、その論理

 3 近代日本における「主語」の論理

 4 漱石の「?は」への風刺



第三章 小説における主語

 1 小説における人称の「主語」

 2 西洋市民社会の主人公

 3 「彼」の文法、その論理

 4 特別な人物を指す「三人称代名詞」

 5 「彼は」、「彼女は」への批判

 6 「彼」「彼女」への抵抗

 7 やはり、「彼は」、「彼女は」は使われている



第四章 「文」は近代につくられた

 1 日本文には、切れ目はなかった

 2 句点「。」を打つ苦心

 3 結局、「文」がよく分からなかった

 4 「文」概念は入っていたが……



第五章 文末語もつくられた

 1 「文」がつくられた

 2 「た。」は過去形か

 3 過去形「た。」の出現

 4 近代以前の「口語文」

 5 少数の作家だけが歓迎した「た。」

 6 現在形もつくられた

 7 「ル形」は、まともな文型ではなかった

 8 「デアル。」文がつくられた



第六章 日本語はつくられていく

 1 志賀直哉の翻訳調文体

 2 「彼」の到達した個人主義

 3 「彼は……た。」の論理

 4 漱石の「現在形」



第七章 「?は……である。」文の新しい意味

 1 歴史における翻訳

 2 「?は」の役割が変わった

 3 書き言葉における「である。」

 4 「?は……である。」文の論理

 5 日本国憲法前文の「?は」



第八章 日本語の論理

 1 西田哲学の「主語」論理批判

 2 「述語論理」の説――中村雄二郎、木村敏

 3 翻訳論の立場から

 4 西田哲学と時枝文法論

 5 さらに翻訳論の立場から



第九章 A+B→Cの文化論

 1 「未知」なままでの理解方法

 2 現代の流行現象から

 3 異文化「フランス」

 4 キリシタンはキリスト教徒だったのか?

 5 キリシタンの「転び」

 6 「転び」と両立する信仰



第十章 漢字の造語力と、意味の空しさ

 1 「?は」構文と漢字

 2 訓読みの時代

 3 音訓併用の時代

 4 日本独自の勉強法「素読」

 5 文字が時代をつくる

 6 日本近代をつくった漢字

 7 漢字の特有の機能について

 8 漢字の「形」の造語力

 9 漢字の「意味」の造語力

 10 漢字造語力への思い込み

 11 「外来語」の造語力



第十一章 言葉の限界

 1 言葉に閉じこめられて

 2 言葉の裂け目――パラドックス

 3 堅固な言葉、文字

 4 差別も文字がつくり出した

 5 文字以前の言葉の世界



おもな参考文献

あとがき

柳父 章[ヤナブ アキラ]
1928年東京市生。東京大学教養学部教養学科卒。元桃山学院大学教授。著書に『翻訳語の論理』『文体の論理』『翻訳とはなにか』『翻訳文化を考える』『日本語をどう書くか』『秘の思想』『近代日本語の思想』『未知との出会い』『日本の翻訳論─アンソロジーと解題』(共編著)(以上、法政大学出版局)、『翻訳の思想』(ちくま学芸文庫)、『比較日本語論』『翻訳学問批判』(日本翻訳家養成センター)、『翻訳語成立事情』(岩波新書)、『現代日本語の発見』(てらこや出版)、『「ゴッド」は神か上帝か』(岩波現代文庫)、『一語の辞典─文化』『一語の辞典─愛』(三省堂)、『翻訳語を読む』(丸山学芸図書)ほかがある。

内容説明

日本語の文体は近代以後、翻訳によってつくられた―大日本帝国憲法に象徴される翻訳悪文の系譜を分析して近代日本語文の欠陥を摘出するとともに、漱石、志賀直哉、谷崎などによる新文体創出の軌跡をたどりつつ、日本語文における論理と思想の問題点を抉り出す。新たに導入された主語や三人称、句読点、文末語などの使用経緯を思想形成過程とした捉え直し、日本文化論に新視角を提示する。

目次

第1章 「主語」は翻訳でつくられた
第2章 「主語」はこうしてつくられた
第3章 小説における主語
第4章 「文」は近代につくられた
第5章 文末語もつくられた
第6章 日本語はつくられていく
第7章 「~は…である。」文の新しい意味
第8章 日本語の論理
第9章 A+B→Cの文化論
第10章 漢字の造語力と、意味の空しさ
第11章 言葉の限界

著者等紹介

柳父章[ヤナブアキラ]
1928年東京市生。東京大学教養学部教養学科卒。元桃山学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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こたろう

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現代の書き言葉で使用されている形式が、いつ生まれたのか、どのように生まれたのかについて記載されている。文書の書き方の訓練をしたことがある人ならば、必ず知っている文のルールが、わずか100年前に生まれていて、それが現在の主流になっていることに驚いた。また、三上・時枝などの過去の研究者についての研究にも言及し、主語についての考察もあり、大変参考になる部分が多かった。日本語の文の構成に関する部分は、新しい視点を与えてもらった気がする。2022/01/11

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