内容説明
遠隔地交易の発展と商業都市の勃興にともない、富をなす事業家が次々に現れた中世後期のヨーロッパ。しかし、教会法はウスラ=利子をむさぼる行為を許されざる大罪とみなしていた。ウスラをめぐる聖職者達の言葉と、メディチ家の巨人コジモの生涯をたどり、そのパトロネージに秘められた贖罪の悲願を明らかにする。
目次
第1章 ウスラをむさぼる者を待ち受けているのは
第2章 宥恕されうる利得、されえない利得
第3章 十三、十四世紀のフィレンツェとメディチの事業の創業
第4章 コジモの追放、帰還とメディチ・レジームの形成
第5章 コジモの時代のメディチの事業(1)―その概容、組織、そしてひと
第6章 コジモの時代のメディチの事業(2)―その収益は宥恕されうるものであったか?
第7章 コジモ・デ・メディチのパトロネージ
第8章 それはつぐないの行為であったか?
結びにかえて―煉獄のコジモ
著者等紹介
西藤洋[ニシフジヒロシ]
1943年、東京生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学大学院経済学研究科博士後期課程中退。成蹊大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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k5
50
もういちど大学院に行くチャンスがあるのなら、ヨーロッパ経済史やりたいかな。なんにせよロマンに溢れた世界です。メディチの事業形成や為替を使った金融事業については、『メディチ・マネー』でも読んだけど、本書ではその事業がキリスト教や人定法上、どのような倫理的解釈を受けたのか、についても書きます。不労所得の利子はNGだけれども、貸したものの損耗や機会損失への補償ならOKというのは面白い。本の作りとしては、二次資料要領よくまとめた感じではあるんですが、紹介されている種本も読みたくなります。2020/06/09