出版社内容情報
イギリスによる植民地支配と数十年におよぶ紛争で社会が分断された北アイルランドという〈場〉に根ざして和解をめぐる問題を考える
内容説明
カトリック系とブロテスタント系という「二つのコミュニティ」を抱えた北アイルランドは、イギリスによる植民地支配の結果が凝縮されるとともに、30年にわたる紛争で社会が著しく分断された「場」でもある。1990年代以降の和平プロセスにおいて、暴力と分断の克服が具体的な課題となる一方、歴史と記憶をめぐる対立や相互不信に根ざす「和解」の難しさがことあるごとに露呈してきた。本書は、イギリスとの連合維持を主張するマジョリティであるユニオニストに焦点をあてながら、不安と恐怖、暴力と対立を生きるなかでのアイデンティティ・ポリティクスを考察し、「社会の共有」への可能性を探る。
目次
第1章 北アイルランドという「場」
第2章 分断された人びと
第3章 「われわれは包囲されている」
第4章 保証のない「ブリティッシュネス」
第5章 迷走するマジョリティ
第6章 居場所を求めて
著者等紹介
尹慧瑛[ユンヘヨン]
1973年、東京生まれ。東京外国語大学外国語学部朝鮮語学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科地球社会研究専攻修士課程修了。同博士課程修了、博士(社会学)。日本学術振興会特別研究員を経て、一橋大学COE研究員、東京外国語大学などで非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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