出版社内容情報
奴隷制が敷かれていた19世紀のアメリカで、命の危険をかえりみず多くの黒人奴隷を南部から救い出した、「黒人のモーセ」ことハリエット・タブマンの伝記。逃亡奴隷を救出する秘密組織「地下鉄道」の車掌として指揮をとり、南北戦争時は北軍のスパイとして活躍し、晩年には女性参政権運動に身を投じた。分断が叫ばれる今こそ目を向けたい、連帯の力を信じ自由を求めて生涯闘い続けた、ひとりの女性の姿を描く。
内容説明
奴隷制が敷かれていた19世紀のアメリカで、命をかけて多くの黒人奴隷を救い出し「黒人のモーセ」と呼ばれた女性、ハリエット・タブマン。彼女の抵抗を支えた人びとの「連帯の力」に目を向けながら、「強さ」と「しなやかさ」を併せ持ち、自由を求めて死ぬまで闘い続けたひとりの女性の姿を描き出す。
目次
第1章 奴隷として育った子供時代
第2章 男並みの肉体労働と幻視
第3章 自由の地を目指して
第4章 地下鉄道の車掌としての使命
第5章 残された最後の家族の救出作戦
第6章 ジョン・ブラウンとの出会いと語り手としての役割
第7章 南北戦争でスパイとして活躍
第8章 看護師としての奉仕
第9章 人種差別と貧困との格闘
第10章 黒人高齢者のホームを作る夢
付記 地下鉄道という秘密組織
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
74
19世紀、黒人奴隷の逃亡を支援する秘密組織「地下鉄道」をコルソン・ホワイトヘッドの小説で知った人もいるだろう。その「地下鉄道」の「車掌」を勤め、黒人奴隷の逃亡を助けるだけでなく、黒人、そして女性の尊厳と自由の為に戦い続けたのがハリエット・タブマンという女性だ。2人の姉が買い取られる状況を見たタブマンは家族との逃亡を決意。とは言え、捕まっても酷い目に遭わされ、逃亡中も黒人誘拐に捕まったら奴隷として売られる状況だったのだ。神を信じて進んだ彼女は逃亡に成功し、不安を抱きつつも「地下鉄道」の「車掌」として働いた。2020/07/10
びーとぅん
11
現実は小説よりも奇なり、とはまさにこの人の人生のことではないだろうか。恥ずかしながらこの本を手に取るまで彼女のことは名前すら知らなかったが、本国では教科書にも載っている歴史上の人物とのこと。秘密組織地下鉄道の車掌として多くの逃亡奴隷達を助けただけでなく、南北戦争ではスパイとして工作活動を行い、更に戦後には人種差別撤廃、女性の地位向上のための社会運動に身を投じたというタブマンのバイタリティは人間離れしていて、神の声を聞いたというのも頷ける。これ程の功績を残した人物はもっと知られるべきだと思う。2020/07/24
映画屋
2
図書館で借りました。彼女の生涯を非常にわかりやすい文章で書いてありました。悲しくなる内容です。2020/08/15