出版社内容情報
日本赤十字社の栄誉と屈辱の歴史を辿り,非人道的イメージの裏に隠された日本の人道的活動の実態を,天皇との関わりにおいて豊富な英文資料をもとに明らかにする。
内容説明
日本赤十字の草創期から、日露戦争、太平洋戦争における同社の栄誉と屈辱の歴史をたどり、第二次世界大戦時の非人道的行為によって固定化された残忍なイメージの裏に隠された、日本の人道的活動の実態とその国際的評価を、天皇との関わりにおいて明らかにする。豊富な欧文資料をもとに綴られる、英国の日本史研究者の眼をもってなしえた、日本近代のヒュマニテリアニズム・レポ。
目次
第1部 天皇への信任の確立(日本における赤十字;「天皇の赤子」―陸海軍における健康管理;赤十字と国民の健康管理)
第2部 天皇への称賛(日本、人道主義の世界的リーダー(一八九五‐一九〇五年)
日本におけるロシア人捕虜(一九〇四‐〇五年)
ドイツ人捕虜(一九一四年‐一八年)
放棄された人道主義)
第3部 新天皇への旧い衣服(戦争捕虜と恥辱;苦難の捕虜;究極の武器―麻薬と病原菌;人道主義の灯を絶やさずに)
第4部 一九四五年、そしてそれ以後(「戦争の顔は死の顔である」;よみがえる不死鳥;天皇の名において)
著者等紹介
チェックランド,オリーヴ[チェックランド,オリーヴ][Checkland,Olive]
1941年バーミンガム大学地理学科卒業。翌年経済史家シドニー・G.チェックランドと結婚。リヴァプール、ケンブリッジ両大学で教鞭をとり、のちシドニーがグラスゴー大学に移ったのを期に、みずからの学究活動も本格化させた。かたわらシドニーの執筆活動を助け、共著も出版する
工藤教和[クドウノリカズ]
1968年慶応義塾大学商学部卒業。現在慶応義塾大学商学部教授。専門は比較産業史、イギリス非鉄金属鉱山業史
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