内容説明
旧約聖書の世界や古代ギリシアをさらに遡る、西洋文明の遙かなる源流にして、その精神の揺籃の地メソポタミア。前4千年紀から3千年紀への移行期に生まれ、紀元元年後まもなく姿を消したその文明は、文字の発明により、思考し記録する人類文明の枠組みを創造した。本書は、アッシリア学の意義および古代中近東文字の解読史を語りつつ、楔型文字、夢占い、身代わり王、ハンムラビ法典、自由恋愛、宗教、宇宙創造論、死の神話等々、残された記号群を鮮やかに解読して、理性と想像力の驚くべき豊かな精神世界へと誘う。
目次
西洋の誕生
第1部 アッシリア学(無用な学問のための弁明;アッシリア学とわれわれの歴史 ほか)
第2部 文字(一八〇〇年から一九三〇年にかけての古代中近東文字の「解読ラッシュ」;備忘手段から文字へ ほか)
第3部 「理性」―機構と精神構造(夢占い;卜占と科学的精神 ほか)
第4部 「神々」―宗教(宗教体系;知性と権力の技術的機能―エンキ/エア(Enki/Ea) ほか)
著者等紹介
ボテロ,ジャン[ボテロ,ジャン][Bott´ero,Jean]
1914年、南フランスのニース近郊に生まれる。カトリック・ドミニコ会修道院付属の神学校で聖書学、哲学等を修めるが、やがてパリ国立高等研究院のR.ラバット教授の指導のもとにアッカド語、メソポタミア文献・歴史学を学び、フランス国立科学研究機関研究員を経て1958年よりパリ国立高等研究院教授
松島英子[マツシマエイコ]
1948年に生まれる。東京芸術大学美術学部芸術学科、同大学院において美術史を専攻した後、フランス政府給費留学生としてパリ国立高等研究院においてアッシリア学を学ぶ。富山大学助教授、中近東文化センター研究員、中京女子大学人文学部教授を経て、法政大学キャリアデザイン学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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