出版社内容情報
世界有数の熱帯雨林に住む先住民の伝統的な焼畑農業と豊かな生活文化を人類学者の目で記録しつつ,濫伐と開発の波が彼らの生存を根底から脅かしている現状を告発。
内容説明
世界有数の熱帯林が危機に瀕しているマレーシアのサラワク州、その森に住む先住民たちの理の適った伝統的焼畑農業と豊かな生活文化を人類学者の目で記録しつつ、濫伐と開発の波が彼らの生存を根底から脅かしている現状を克明に報告する。
目次
第1章 サラワクと人々
第2章 ダヤクの伝統的な焼畑農業社会
第3章 合理的な農業システムとしての焼畑
第4章 サラワクの土地法の変遷―先住民への影響
第5章 土地開発計画の影響
第6章 森林政策と先住民
第7章 先住民と木材業者の森林をめぐる闘い
第8章 サラワクの木材伐採と深林資源の枯渇
第9章 焼畑農業の新しい見方
第10章 木材産業の社会的および環境的影響
第11章 ダムで水没する先住民の土地
第12章 近代化と開発が先住民にもたらしたもの
第13章 先住民の文化的および開発の権利
第14章 先住民の権利の回復に向けて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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マレーシア・サワラク先住民の伝統的な焼畑農業社会の崩壊と、世界一の木材輸出国として熱帯雨林を伐採していく様を克明に記述している。先進国の学者が記す専門的な学術書ではなく、先住民の側から開発をどう受け取っているのか表しているので、実に興味深い。先住民族の権利問題、現地共同体による資源管理などの動きは、個別文化の独自性(文化相対主義)のアイデンティティと、資本主義・民主主義の社会勢力との齟齬がどうやって収拾していくのかが問題になっており、21世紀以降になってますます激化していく文化の衝突を語る必要を感じた。2010/11/24