出版社内容情報
田畑の村総有・割替制を原則に農業労働の協同性を維持して苛酷な自然条件に対処してきた琉球。薩摩の侵攻後の検地による改革の帰趨を検証,近世の経済構造を考察。
内容説明
奄美諸島以南の島々、とくに近世の琉球王国では、農業は、悪い土質と台風など頻繁な自然災害によりその発展を妨げられてきた。地割制は、農業労働の協同性を保持してそうした条件に対処するための、村総有・割替えを原則とする土地制度であった。慶長14年の薩摩の侵攻後、石高制が導入されたが、地割制は根強く残存し、石高制は本土と異なる形態をとらざるを得なかった。幕藩体制に対し相対的に独自な基礎構造を有した近世琉球の経済社会を、とくに土地制度と街道・継立組織などを中心に、現地調査を踏まえて考察する。
目次
第1章 薩摩藩の天保改革と奄美、沖縄
第2章 慶長検地と石高制について
第3章 慶長検地後の琉球王国の土地制度
第4章 近世久米島の土地所有と地代
第5章 近世後期の久米島の土地所有
第6章 久高島の土地制度―現状と沿革
第7章 琉球王国の街道と継立・通報組織