出版社内容情報
幕府の臨時ないし巨額の出費を賄うため,江戸や大坂の町人(商人)や御料の百姓から強制的に借上げた御用金。その指定・返済等の実態から近世金融経済史を究明する。
内容説明
江戸幕府による御用金の調達は、単に財政窮乏対策のためばかりでなく、大坂米相場の米価調節や諸藩の経済活動に対して金融的な機能を果たした。宝暦・天明期の大坂御用金の指定・上納・返済の過程を中心に、賦課する幕府の政策と賦課される側の町・商人の対応、御用金投入による経済効果ないし混乱の状況をつぶさに解明して、近世の借金・債券政策の実態を追究する。近世後期の金融・流通を担う御用商人や公的機関(三井組・大坂銅座・長崎会所・箱館産物所等)の業務・財政構造の綿密な分析とともに、近世経済史・金融史の基礎構造を照射した労作。
目次
第1章 宝暦期の大坂御用金
第2章 天明五年の大坂御用金と対馬藩
第3章 天明三年の融通御貸付銀と高崎藩
第4章 文久・慶応期の御為替三井組
第5章 文政・天保期の大坂銅座の財政構造
第6章 箱館産物会所と三井両替店
第7章 会計元立金と小西新右衛門
著者等紹介
賀川隆行[カガワタカユキ]
1947年福井県武生市に生まれる。1970年一橋大学社会学部卒業。1975年同大学院博士課程単位修得退学。1973年より三井文庫研究員。日本近世経済史専攻。1983年社会学博士
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