内容説明
応仁の乱から第二次世界大戦まで、戦争や飢饉の際に非常食・保存食として鱈が果たした役割を明らかにしつつ、漁場開拓の歴史や漁法の変遷、漁民たちの暮らしや民俗をあとづけ、鱈をテーマに“海はどれほどの人を養えるか”を考える。
目次
序章 人類の食べ物(人は何を食べてきたか;命がけの漁撈 ほか)
第1章 鱈の発見(鱈と武家;中世の日本海と鱈場 ほか)
第2章 北進する漁人(出稼ぎ漁業;慶長年間の朝鮮鱈 ほか)
第3章 鱈延縄と川崎船(生息域と漁場;延縄 ほか)
第4章 戦争と鱈(鱈と北洋;占守島と報效義會 ほか)
第5章 鱈の食文化(武家の鱈料理;陣中食、戦闘食、保存食 ほか)
第6章 鱈と文芸(松尾芭蕉;与謝蕪村 ほか)
第7章 鱈と祭祀(「鱈まつり」;「寒鱈まつり」 ほか)
終章 人を扶け続けた鱈(鱈養殖漁業;人の生存を保障する技術)
著者等紹介
赤羽正春[アカバマサハル]
1952年長野県に生まれる。明治大学卒業、明治学院大学大学院修了。文学博士(新潟大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鯖
16
応仁の乱後の食糧難により集団化本格化した鱈漁。大戦下では占守島にも千葉から鱈漁に向かい、軍に収めていた。その時が一番鱈が取れていた時期。現状えげれす様のフィッシュアンドチップスがロシアから入ってこなくなったことで貴重品になってるというニュースを思い出し、鱈だけじゃないけどすべてに戦争は影響するんだなあと。氏康パッパが謙信に、プレゼントの鱈旨いよ~珍しいものありがとう名酒で食うねって書状にフフフってなる。日本海側では「鱈場オジ」という言葉があり、惣領ではない次男三男が危険な鱈漁についていた。2022/09/11
kenitirokikuti
1
意外だが、日本史において「鱈漁」が確立するのは応仁の乱以後だという。乱後の食糧難が、従来の漁業権の及ばない沖合での漁業を始めさせたのだという。鱈は江戸時代には一般化したため、もっと昔から産業としてあるものだと思っていた。2015/10/11