内容説明
食の人類学の視点から東西の食法を考察し、箸の食文化と三点セット(スプーン、フォーク、ナイフ)の食文化の違いを人間の自然に対するかかわり方の違いとして浮彫りにしつつ、食具を人間と自然をつなぐ基本的な媒介物として位置づける。
目次
序論 食具とは?
第1章 最初の文化衝撃
第2章 食べ方の文化記号論
第3章 食具の文化史
第4章 食具の文化象徴論
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
to boy
31
食事の仕方について手食、ナイフ・フォーク・スプーンの三点、箸に分類して考察。その使い方や歴史にみならず文化人類学、社会学、哲学にまで話が及び、はては糞便・トイレにまで記述されていて雑学満載の一冊。ルイ14世も手食で食べ、食具が出回ってからも一つのスプーンやフォークを数人で共用していた西洋。現代風になったのはほんの近代になってからだそうです。すべて箸だけで済ませる日本と専用の食具を多種用意した西洋の違いに対する深い考察は読み応えありました。2019/01/25
つんどく
0
食べる時に使う道具(フォークスプーンナイフ、箸、手食)の歴史や文化、その背景にある思想などについての本。著者が高齢である事もあり言葉の難しい(古い)所が散見されるが、参考になる絵図を多数引用してくれていて親切。食は生活の中で欠かせないものであるが、何を食べるのかどんなマナーがあるか、ということばかり考え、なぜ箸で食べているのか?なぜ箸は木製なのか?などはさほど考えてこなかったのでそれについて考える事ができてよかった。もちろん何をどのように食べるのかについても書かれている。2021/01/16
キャド兄さん
0
食具と聞きなれないタイトルですが、基本的に食事をするときに使う食器について書かれています。手づかみで食べていた時代から、箸やナイフ・フォーク・スプーンを使うようになった歴史や、文化的な背景などが述べられています。とても面白いと思いました。著者曰く、食具についての本はほかになかなか見当たらないので、とても貴重だと思います。2019/05/08