出版社内容情報
カント批判哲学の根底には、「文化」が人類の道徳的進歩に寄与するとともに、道徳性を破壊しもするという「輝かしき悲惨」の認識が存在する。教育・立法・宗教の位相で生じる、人類の進歩の可能性をめぐる相矛盾する主張(文化と道徳とのアンチノミー)に光をあて、『判断力批判』や『宗教論』などのテキストをカント自身の思考の文脈から読み解くことで、現代世界の倫理的課題を問い直す。
内容説明
カント哲学の根底には、「文化」が人類の道徳的進歩に寄与するとともに、道徳性を破壊しもするという「輝かしき悲惨」の認識が存在する。教育・立法・宗教の位相で生じる、人類の進歩の可能性をめぐる相矛盾する主張(文化と道徳とのアンチノミー)に光をあて、現代世界の倫理的課題を問い直す。
目次
第1章 批判哲学におけるアンチノミー概念の再検討(アンチノミー概念の多義性;『純粋理性批判』および『実践理性批判』弁証論のアンチノミー ほか)
第2章 文化と道徳とのアンチノミー(「隠されたアンチノミー」の定式化をめぐって;「文化」概念に関連する先行研究の問題 ほか)
第3章 教育における「自由と強制とのアンチノミー」(教育思想における「隠されたアンチノミー」;『教育学』における「自由と強制とのアンチノミー」 ほか)
第4章 法における「自立と平等とのアンチノミー」(歴史哲学における「隠されたアンチノミー」;「自立」概念についての考察 ほか)
第5章 宗教における「宗教共同体と倫理的共同体とのアンチノミー」(『宗教論』における「隠されたアンチノミー」;「感性的図式」としての宗教共同体 ほか)
著者等紹介
大森一三[オオモリイチゾウ]
1982年生まれ。法政大学兼任講師、中央大学政策文化総合研究所客員研究員、博士(哲学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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