リクール読本

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  • サイズ A5判/ページ数 416p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784588150784
  • NDC分類 135.5
  • Cコード C1010

出版社内容情報

歴史=物語の解釈学で知られる哲学者が残した膨大な仕事を主題ごとに掘り下げ概観する初の読本。著作解題とキーワード解説、略年譜…20世紀後半の哲学界にあって、実存哲学や精神分析、構造主義や分析哲学との幅広い思想的交渉を保ちつつ、他に類を見ない独自の地歩を築いたポール・リクール。歴史=物語の解釈学で知られる第一級の哲学者が残した膨大な仕事をテーマごとに掘り下げ、その驚くべき多面性を一望のもとに概観する、最高の執筆陣による本邦初の読本。主要著作解題とキーワード解説、略年譜も付す。



凡 例

主要著作の略号一覧



第?部 リクールと二十一世紀の世界

1 リクールと歴史の理論──哲学的歴史理論の射程【鹿島 徹】

2 リクールと物語り論──「分析哲学的ヴァリアント」を軸に【野家啓一】

3 リクールと現代社会──われわれは何を希望することが許されるか【堀江宗正】

4 リクールと政治哲学──政治的なものの根源に向けて【川上洋平】

5 リクールと歴史修正主義論争──惨事の比較は不道徳か【川口茂雄】

6 リクールと神学──「哲学」か「神学」か?【佐々木啓】



第?部 リクールと現代哲学

7 現代思想の交差点としてのリクール 二十世紀の哲学的証人【杉村靖彦】

8 リクールとナベール──「根源的肯定」から「証し」へ【越門勝彦】

9 リクールとレヴィナス──レヴィナス解釈の独自性と「誇張法」【関根小織】

10 リクールとデリダ──「隠喩」論争が拓いたもの【合田正人】

11 リクールとフッサール──独断的形而上学の超克をめぐって【長坂真澄】

12 リクールとハイデガー──カント『純粋理性批判』と純粋想像力の第三項性【川口茂雄】

13 リクールとヤスパース──実存哲学の一展開【大沢啓徳】

14 リクールとベンヤミン──物語の衰退をめぐって【鹿島 徹】

15 リクールとアーレント──「赦し」を中心に【森 一郎】

16 リクールと分析哲学──「自己」に至る迂回路としての【長門裕介】



〈コラム?〉リクールから教えられたこと【杉村靖彦】



第?部 リクールと社会科学

17 アナール派歴史学の変遷──社会史と物語【渡辺和行】

18 テクスト解釈学と文化社会学──「行為をテクストとみなす」という方法をめぐって【佐藤成基】

19 〈記憶の場〉とコメモラシオン──歴史研究からみたリクール【長井伸仁】

20 ケアの倫理をめぐる思想状況──個人を支える集合体の形成【原山 哲】

21 文学教育と物語的自己同一性──自己性のダイナミクスを視座として【荒木奈美】



第?部 リクールと近代哲学

22 リクールとベルクソン──生の哲学の影【藤田尚志】

23 リクールとディルタイ──ディルタイの解釈学は「ロマン主義的解釈学」なのか?【瀬戸口昌也】

24 リクールとマルクス──リクールはマルクスをどう読んだか【川?惣一】

25 リクールとメーヌ・ド・ビラン──身体に内在する〈他性〉の再発見【越門勝彦】

26 リクールとスピノザ──迂回の哲学としての『エチカ』【朝倉友海】

27 リクールとデカルト──第四省察の自由論を現象学的に再解釈する【川口茂雄】



〈コラム?〉神の名、命の贈与の神学【久米 博】



主要著作解題

キーワード解説

リクール略年譜

人名索引

鹿島 徹[カシマ トオル]
1955年生。早稲田大学教授。著書:『可能性としての歴史──越境する物語り理論』(岩波書店),訳書:ベンヤミン『【新訳・評注】歴史の概念について』(未來社)。

越門 勝彦[コエモン カツヒコ]
1973年生。宮城学院女子大学准教授。著書:『省みることの哲学──ジャン・ナベール研究』(東信堂),共訳書:リクール『道徳から応用倫理へ』(法政大学出版局)。

川口 茂雄[カワグチ シゲオ]
1976年生。甲南大学准教授。著書:『表象とアルシーヴの解釈学』(京都大学学術出版会),共著:『岩波講座 現代 第9巻 デジタル情報社会の未来』。

内容説明

20世紀後半の哲学界にあって、実存哲学や精神分析、構造主義や分析哲学との幅広い思想的交渉を保ちつつ、他に類を見ない独自の地歩を築いたポール・リクール。歴史=物語の解釈学で知られる第一級の哲学者が残した膨大な仕事をテーマごとに掘り下げ、その驚くべき多面性を一望のもとに概観する、最高の執筆陣による本邦初の読本。主要著作解題とキーワード解説、略年譜も付す。

目次

第1部 リクールと二十一世紀の世界(リクールと歴史の理論―哲学的歴史理論の射程;リクールと物語り論―「分析哲学的ヴァリアント」を軸に ほか)
第2部 リクールと現代哲学(現代思想の交差点としてのリクール―二十世紀の哲学的証人;リクールとナベール―「根源的肯定」から「証し」へ ほか)
第3部 リクールと社会科学(アナール派歴史学の変遷―社会史と物語;テクスト解釈学と文化社会学―「行為をテクストとみなす」という方法をめぐって ほか)
第4部 リクールと近代哲学(リクールとベルクソン―生の哲学の影;リクールとディルタイ―ディルタイの解釈学は「ロマン主義的解釈学」なのか? ほか)

著者等紹介

鹿島徹[カシマトオル]
1955年生。早稲田大学教授

越門勝彦[コエモンカツヒコ]
1973年生。宮城学院女子大学准教授

川口茂雄[カワグチシゲオ]
1976年生。甲南大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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nranjen

4
図書館本。あらゆる角度からリクールが論述されている。逆に言えばリクールがそれだけ多くの分野にからみ、盛んに論じていたということなのだが、各方面の専門家が骨太の議論を展開されており、相当な読み応え。哲学方面のみならず歴史、社会学方面も充実。自分的には、物語り論と歴史修正主義論争がすごく好きで、新たな視点のアナール派歴史学や、引用を一切いれないコラム①もよかった。巻末にはリクールの著作説明、用語説明など。見事な地図だが、本当はそんなのなしで読んだ方がずっと面白いのよねえ…つぶやきながら時に飛ばし読み…2021/08/20

singoito2

2
たくさんの専門家がリクールを様々な視点から読解する論文集。リクールの全体像を知る上で、また、リクールに対する評価を知る上で、参考になりました。密かにリクール愛がみなぎった一冊。2021/12/29

 

1
かなりお腹いっぱいの内容。それが、ある意味ではリクールが初期の実存論的哲学から晩年の物語論や歴史哲学へと裾野を広げていったのが理由でもあるんだけど。ある意味では、大陸哲学と分析哲学を接木しようとした稀有な哲学者であったと言える。そのように考えると弟子をしていたデリダなんかと近接する位置におり、晩年に至ってはレヴィナスを媒介にして「他者論」や「待機しつつ待ち望む」といった一種のメシアニズムみたいなのに行き着くのが興味深い。リクールの「象徴」て言えば、「差延」なわけだし。2023/02/26

文狸

0
リクールの基本的思想を学ぶには最適と言ってよいと思う。適度な難易度とヴォリューム感だった。→フィクションと歴史叙述に共通になされている物語り行為を、リクールはルイス・O・ミンクに示唆をえて 「統合形象化(configuration)」と表現する。「行為主体・目的・手段・状況・予想外の帰結といった異種的な諸要素を「諸関係の唯一で具体的な複合体のなかに位置づけること」、 その意味で「筋立てること」を行なう作用をこれは意味する。2024/03/26

佐々木の記録2月11日から

0
この厚さでこれしきの守備範囲なので(全員紙面ギリギリで本当に的確にまとめてくれている)、本当こいつは長い間仕事しすぎたんだよ…となる。マップっぽいね。というかまさに「読本」。ありがとう。

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