内容説明
レヴィナスをはじめとする数多くの翻訳や著作で知られ、90年代以降現代思想研究の最前線に立ちつづける著者が、ユダヤ思想を光源として哲学史の迷宮を読み解き、テクストの無数の断片/裂け目からなる「多島海システム」としての現実を生きる倫理を探究する。日本思想や現代美術への鋭利な批評も加えた30篇の論考やエッセーを収録。
目次
第1部 非在の海図を継ぎ接ぐ
第2部 岸辺の漂流
第3部 華やぐ干瀬
第4部 暗礁から暗礁へ
第5部 大渦旋に呑み込まれて
第6部 まだ見ぬ島々の系譜
著者等紹介
合田正人[ゴウダマサト]
1957年香川県生まれ。一橋大学社会学部卒業、東京都立大学大学院博士課程中退、同大学人文学部助教授を経て、明治大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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踊る猫
19
合田正人の本はレヴィナスの論考に惹かれて読み始めたのだけど、彼は西田幾多郎や田辺元といった哲学者をも守備範囲に入れて論じられることを知りそのフットワークの軽さに驚かされる。とはいえ、彼に似合うのはむしろ求道者的なストイシズムとでも言うべきか、多様な/多彩な哲学者たちを単独に論じるのではなく彼らを縦横無尽に繋いで、そこから誰にも予想のつかない哲学を編むDJ的なスタンスではないかと思った。だから合田の哲学は使いづらい。あるいは、真似できない。しかしそれでも、彼を単なる翻訳者/紹介者として留めるのはもったいない2020/04/02
ドミニク
1
★★★☆☆ 合田先生の文章の持つ、きらびやかさと細やかさ。ご本人は「スター・ウォーズ」シリーズに登場するジャバ様に似ている(ごめんなさい!)のに、その風貌からは全く想像出来ない文体と思う。しかしこの本に収められた文章を読むと、ポエジーが勝り過ぎてついていけなくなる時がしばしばあった(法政大学出版会の今の編集長は合田先生の文章のファンと聞いた)。つまりかつてと比べ細やかさが減退したような……。もちろん優れた部分はたくさんあるのであり、昔から彼の文章を読んできた身としてはそのように感じたというまでのこと。2015/04/12