出版社内容情報
ディルタイ思想を改めて評価する世界的動向を踏まえ,広範な人文科学諸分野からの照射によって,その全体像を照らし出す。ディルタイ研究の旗手となる画期的論集。
内容説明
営々と続けられる手稿群の編集と公刊、世界的な再評価の機運に呼応し、人間・社会・文化の総体的な把握を目指すディルタイ思想の全体像に迫る。
目次
第1部 ディルタイの思想と生涯(ディルタイとその時代;思想形成の歩み ほか)
第2部 ディルタイ思想の全体像(精神科学の基礎理論―心理学と解釈学;精神科学論の展開 ほか)
第3部 ディルタイをめぐる哲学者群像(カントとディルタイ―歴史的理性批判から歴史的判断力批判への道;ドイツ古典・ロマン主義とディルタイ ほか)
著者等紹介
西村皓[ニシムラシロシ]
1925年生。慶応義塾大学名誉教授・日本ディルタイ協会代表理事
牧野英二[マキノエイジ]
1948年生。法政大学教授
舟山俊明[フナヤマトシアキ]
1950年生。慶応義塾大学教授
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感想・レビュー
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てれまこし
11
ディルタイは生前はそれほど著名ではなかったらしい。『体験と創作』でようやく世間の注目をひくが、本格的に再評価が進むのは死後の全集発刊らしい。だから彼の思想の全貌も謎に包まれてる。彼の弟子たちにとってさえ「謎の老人」。自然科学とは異なる人間科学を基礎づけるためにいろいろなものを「と」でつないでった。だから本を書いても続刊が出ずに「第一巻の人」と呼ばれたりした。遺稿の多くも未完成の草稿。ディルタイ研究自体がひとつの精神史としてライフワークになる。それでも人文諸学とか教養なんてことを考えるには避けて通れない人。2021/02/22