目次
大いなる地界
エジプトの死者の書
ゾロアスター教
古典的地獄
プラトン的地獄
ローマ帝国
ヘブライ人の黄泉の国
グノーシス主義
マニ教
初期のキリスト教徒
地獄への降下
最後の審判
黙示録の地獄遍歴
中世
聖史劇(ミステリー・プレイ)
煉獄
ダンテの地獄(インフェルノ)
中世の最盛期
宗教改革
バロックの地獄
楽園喪失
機械的宇宙
啓蒙運動
スヴェーデンボリのヴィジョン
十九世紀
ゲーテの『ファウスト』
ロマン派
普遍救済説(ユニヴァーサリズム)
フロイトの時代
著者等紹介
ターナー,アリス・K.[ターナー,アリスK.] [Turner,Alice K.]
ニューヨーク在住のジャーナリスト。『ニューヨーク・マガジン』『パブリシャーズ・ウィークリー』『ホリデー』の各誌およびペーパーバック叢書「バランタイン・ブックス」の編集を手がけ、『プレイボーイ』誌の小説部門の編集者を務めるかたわら、自身も書評や論説を多数発表する。ニューヨーク大学大学院で比較宗教学を学ぶ間に“地獄”への関心を抱き、引き続く研究は12世紀の地獄観を解明した論文「地獄の黄金時代」として結晶し、『美術と古美術』誌に掲載された
野崎嘉信[ノザキヨシノブ]
1945年、北海道に生まれる。1971年、北海道大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、東京理科大学教授(イギリス・ロマン派文学専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
9
図書館にて。原著は1993年の刊行。20世紀末には、「地獄」のイメージはよく見た記憶がある。1974年生まれの自分だと、核戦争後の荒野(やはり「北斗の拳」)、もっと黙示録な暗黒世界(いくつかあるが、終盤の旧エヴァのビジョンかしら?)。2020年現在、地獄のビジョンはスケールダウンして局所的なデスゲームや、もっと一般的な「死の恐怖」の物語に(キリスト教的な最後の審判といった大掛かりなものではないということ)。2020/01/05
鏡裕之
5
終盤、19世紀以降は駆け足っぽい。でも、古代から中世にかけては非常に興味深い。ただし、初期のキリスト教徒がローマ時代どのような迫害を受けていたかについては、非常に不正確。ネロ以来ずっと迫害を受けていたように書いているが、許しがたい嘘である。ネロ以降の迫害は基本的になく、あったとしても単発的であった。自分たちを被害者(殉教者)に仕立て上げることによって終末の到来を正当化するキリスト教の悪癖が見える。こういう嘘があると、著者を信用できなくなる。所詮、ジャーナリスト、知的なレベルはその程度かとなる。2014/12/08
Fumitaka
1
ロシア語で「地獄」の«ад»は、ギリシア語の「ハデス」(ᾍδης)に由来する。英語の‘hell’と同様、アブラハムの宗教の外に語源を持っている。この本の前半部で記されているように、斯くも文化とは複合的である。今気がついたけど『失楽園』の「天国で奴隷になるより地獄の君主の方がいい」って『オデュッセイアー』のあれっぽい。『ヨーロッパ異端の源流』とかとも合致する面白いところがある一方、やや怪しげなところもある。「パリサイ人」が「ペルシア人」に由来するという説は初めて知ったが、実際反論している人もいるようだ。2021/12/02