目次
挑戦的序論
第1エッセイ 歴史批評 様式の理論(叙事の諸様式 序論;悲劇的叙事の諸様式 ほか)
第2エッセイ 倫理批評 象徴の理論(逐字相および記述相―動機としての象徴と記号としての象徴;形式相 心象としての象徴 ほか)
第3エッセイ 原型批評 神話の理論(原型的意味の理論(一)黙示的イメージ
原型的意味の理論(二)悪魔的イメージ ほか)
第4エッセイ 修辞批評 ジャンルの理論(継起のリズム エポス;持続のリズム 散文 ほか)
結論の試み
著者等紹介
フライ,ノースロップ[フライ,ノースロップ] [Frye,Northrop]
1912年カナダのケベック州生まれ。20世紀屈指の批評家。トロント大学ヴィクトリア・コレッジで哲学・英文学を学び、オックスフォード大学に留学。帰国後1939年から母校で英文学を講じ、1948年同校の教授、1952‐59年には学長を務めた。1967年フライのために創設されたトロント大学英文学教授に就任、1991年に死去するまでそのポストにあった。1976年にアメリカ近代語学会会長に就任。西欧文学の構造原理を分析・解明し壮大な批評体系を構築した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しゅん
13
古典ギリシアから20世紀前半の文学までの、分類的批評。「歴史批評」「倫理批評」「原型批評」「修辞批評」の四つの試論に分かれている。理論における解説が多くの作品の具体的か箇所でなされているからか、なかなか読み解くのが困難。詩の修辞など、元の詩がわかっていればかなり面白そうではあるが。主人公の立場の強さ/弱さで叙事詩を分割するのは有効に思える。最後に告白文学から演説までを修辞の対象に含めているのが、「文学」の枠をいきなり広げるような驚きがあった。2022/12/31
34
8
フライのブレイク論が翻訳されていないのにみんな文学の話をしている。2020/02/19
Akito Yoshiue
2
難解な部分が多く、読み進めるのに苦労したが得るものも多かったように思う。特に前半の論考は参考になった。2015/01/20
鏡裕之
1
文学理論が執筆のためになるかといえば、文学には必要な前提となりうるが、エンタメの場合にはならない。文学理論は創作のためには存在しない。それでも、たとえば本格ファンタジーはあるのか?みたいな議論をしようとする時、1つの高度な知的フレームワークを与えてくれる。なお、フライは「叙事詩が単なる物語と違うのは、天国から黄泉の国にひろがり、厖大な伝統的知識にわたる、その主題の百科全書的広さのためである」と指摘していて、この百科全書的な部分は本格ファンタジーとCM的に形容される小説が、ある程度持っているものでもある。2023/10/08
Lieu
1
書名の「解剖」は他に意味があるようだが、この取り憑かれたような、際限なき分類意志を表しているかのよう。用語はフランス現代思想のような難解なものではなく、読んでいくうちに何となくわかる。「低次/高次模倣」など。しかし古典、聖書、近現代文学からの縦横無尽な引用や書名列挙の奔流のため、どこからどこまでが何の話かが追えなくなり、読みづらい。解説を読んでやっと本の構成がわかった。エッセイという形式だから仕方ないかもしれないが、もう少し細かく節分けされていれば、まだいくらか内容が頭に入ってきたかもしれない。2020/09/14