出版社内容情報
それはいつ生まれ,どのように流れ,誰が伝播するのか。この身辺にありながら得体の知れぬ奇妙な現象を豊富な例によって分析し現代社会における役割を解明する。
内容説明
現代社会の豊かな情報の中でなお最強のメディアを演じる〈うわさ〉とは何か。その生態と役割。
目次
とらえ難い現象
第1部 うわさの誕生と死
第2部 うわさの解釈
第3部 うわさの利用
第4部 うわさは消すことができるか
うわさと現代の伝説―新しいものは何か
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サイバーパンツ
11
変幻自在で掴みどころのない、うわさの魔術的なイメージを否定し、論理的に説明していく。非公式な情報の社会内での出現と流布をうわさと定義し、それが社会的関係のスキマに入り込んでいることや、大衆の深部にある感情を正当化していること、スケープゴートの働きによって類似のうわさが永劫回帰していることなど、多数の例を引き、様々な側面からうわさを考える。我々の知覚を組織化し、自己に妥当性を与えることで成り立っている、集団において異を唱え難い状況を作るうわさを止めるには、信頼性のある発信者を使って否定を信じさせるしかない。2018/02/20
はこ
0
"うわさの研究が獲得させてくれる洞察の短い一瞬は、知というものの脆弱さの確認に通ずるのだ。おそらく、われわれの知識の大部分は、われわれがそれを意識しないけれども、ほとんど根拠の無いものであろう。"含意のあるお言葉だ。タイムリーなことに、Twitterで広まったデマについて、虚構新聞が非難を受けている。チェーンメールの元になった文章を非難した所で、何の意味があるというのか。デマを広めた人間こそ白痴ではないのか。この本を読んで、よくよく考えてほしい。が、知に触れる機会の無い人たちには無理だろうなぁ…。2012/05/18