出版社内容情報
心的世界の成立基盤とその病理を臨床および独自の理論構成によって解明し,精神分析とメタ心理学研究に明確な指針と展望を提示する。
内容説明
メラニー・クラインの後を継いでフロイト以後の精神分析の内在的な理論的総括を試みたビオンの代表的著作群を集成。フロイトのメタ心理学を刷新して情動的経験を可能にする基盤を探究し、心的世界がいかに成立するか、それがいかに障害を受けるかを臨床と独自の理論構成によって解明する。集団の無意識的力動や分裂病の精神分析、乳幼児期の母子交流とその情動的経験の理解などの領域で、今日の精神分析の臨床とメタ心理学研究に明確な指針とパースペクティブを提供する。訳者による詳細な解題を付し、フロイト以降の精神分析理論の系譜とビオンの理論形成過程およびその背景を解き明かす。
目次
第1部 経験から学ぶこと(因子と機能の定義。「アルファ機能」の導入;現実原則と機能の理論;アルファ機能・ベータ要素・アルファ要素;意識と無意識を成立させるアルファ機能;物質と愛情の分裂 ほか)
第2部 精神分析の要素(精神分析の要素の抽象―♀♂、PS←→D、L・H・K、R、I;要素の諸条件;要素の三次元―感覚・神話・情念;精神分析と孤立の感覚;解釈と使用法の六つのカテゴリー ほか)
解題―精神分析理論から「窮極の現実」へ
著者等紹介
ビオン,ウィルフレッド・ルプレヒト[ビオン,ウィルフレッドルプレヒト][Bion,Wilfred Ruprecht]
イギリスの精神分析学者。メラニー・クラインと共にフロイト以後の現代精神分析学の祖とされる。フロイトのメタ心理学を刷新して情動的経験の基盤を探究し、心的世界がいかに成立するか、それがいかに障害を受けるかを解明した。その試みは集団力動の理解から現代のパーソナリティ障害研究まで幅広い影響を及ぼしている。1897年インドに生まれ、1979年イギリスに死す。早期から精神分析に関心を抱き、第二次大戦中にリックマンと集団精神療法を始めるなど、革新的な業績をのこした。その後はクラインの影響の下に精神病者の個人精神分析に打ち込み、多くの成果を発表した
福本修[フクモトオサム]
1958年生まれ。東京大学医学部医学科卒業。静岡大学保健管理センター、タヴィストック・クリニック(ロンドン)勤務を経て、恵泉女学園大学教授、長谷川病院および代官山心理・分析オフィス勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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