出版社内容情報
正体不明の蜘蛛のような小説家の言葉が、一つの哲学的身体に巨大な巣をはりめぐらせ、波動を伝えて刺激し、実験的読解をうながした。シーニュ、文学機械、横断性、アンチロゴス、狂気の現前と機能……。哲学の思考に背反する思考のイメージを打ち立てるプルーストとともにドゥルーズが哲学の伝統に抗して哲学する。増補改訂後の決定版を新訳。
内容説明
『失われた時を求めて』は、哲学と競合する真実の探求の書である。正体不明の蜘蛛のような小説家の言葉が、一つの哲学的身体に巨大な巣をはりめぐらせ、波動を伝えて刺激し、実験的読解をうながした。シーニュ、文学機械、横断性、アンチロゴス、狂気の現前と機能…。哲学の思考に背反する思考のイメージを打ち立てるプルーストとともにドゥルーズが哲学の伝統に抗して哲学する。増補改訂後の決定版新訳。
目次
第1部 もろもろのシーニュ(シーニュのタイプ;シーニュと真実;学習;芸術のシーニュと“本質”;記憶の第二の役割;系列と集団;シーニュの体系における多元主義;思考のイメージ)
第2部 文学機械(アンチロゴス;箱と器;“探求”の水準;三つの機械;スタイル;狂気の現前と機能、蜘蛛)
著者等紹介
ドゥルーズ,ジル[ドゥルーズ,ジル] [Deleuze,Gilles]
1925年生まれ。哲学者。1995年死去
宇野邦一[ウノクニイチ]
1948年生まれ。立教大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かふ
18
「シーニュ」とは、英語の「サインsign」ということらしい。いきなりフランス語で言われてもわからん。そこから想像するしかないのだ。言葉には元々の意味があって、例えばフランス語だったらラテン語起源とか。そういう起源性を求めて厳密な言語(ロゴス)を追求していくのがそれまでの哲学的態度であったが、ドゥルーズはそれを芸術の中で開示していく。「問い」として、回答として収益される知識ではなく、問題を前に進めるための学問なのだ。以下、https://note.com/aoyadokari/n/n467e8252f69d2022/02/03
かんちゃん
2
真実を探求する精神はアプリオリには存在せず、具体的な状況において駆り立てられる。真実とは、あらかじめ存在する善意の産物ではなく、思考における暴力の結果である。埋め合わせの補償としての学習。シーニュは、本質は、差異を内在し、反復を通じて、折りたたまれた状態から展開され、思考を、解釈を、学習を強制させる。2022/04/24
mada
1
わーからん2023/12/17
uchiyama
1
何のことやら、おいてけぼり…な箇所がいっぱいなのに、とんでもなく面白くて一気読み。「数多のカオスに他ならない一つの世界にあって、芸術作品の形式的構造だけが、他のものに依存しないかぎり統一性として寄与することが出来る」。「思考しようとする善意に基づくかぎり、恣意的で抽象的にとどまる」しかない真実の探究方法を斥けて、「思考を強いる」シーニュの「解釈」、「解読」に賭ける者としてのプルーストを、これまた「解読」したこの本の最後、「シーニュによって震える」巣と蜘蛛のイメージ、痺れます。確かにこの本は「シビレエイ」。2023/07/30
あ
1
再読、後半ムズいけどやっぱオモロい本だ2022/09/22