叢書・ウニベルシタス
美学講義

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  • サイズ B6判/ページ数 408p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784588010576
  • NDC分類 134.4
  • Cコード C1310

出版社内容情報

従来の版とは異なり、1820/21年冬学期ベルリン大学の講義を忠実に伝える校訂版(シュナイダー編)。ありのままのヘーゲル美…西洋美学思想史に燦然と輝くヘーゲル美学。しかし従来読まれてきた版は、聴講者H. G. ホトーの手で「体系」へと編集され、歪曲されたテキストであった。1995年にH.シュナイダー編で初公刊された本書は、1820/21年冬学期ベルリン大学での美学講義を忠実に伝える校訂版であり、ヘーゲル美学のありのままの姿を示すとともに、その後の講義の発展をすべて内包する基礎的内容をなす。

訳者まえがき



序 論

 芸術の概念

 芸術の区分

  一 象徴的な芸術

  二 古典的な(完全な)芸術

  三 ロマン的な(近代的な)芸術



第一部 一般部門



第一編 芸術の一般部門



第一章 美の概念



第二章 美と精神の関係について



第三章 自然美と芸術美の区別



第二編 芸術の特殊部門



第一章 芸術の象徴形式

 第一節 自然の象徴、あるいは物理的なものの象徴

 第二節 真に象徴的なもの

 第三節 意味と表現が並置される段階、あるいは特殊における象徴

  イソップ物語

  メルヘン

  たとえ話と教訓話

  謎かけ

  風 諭

  隠 喩

  直 喩



第二章 芸術の古典形式

 第一節 概念、思考それ自体、もっとも優れたもの

  古典的な崇高



第三章 ロマン的芸術

 第一節 宗教の素材

 第二節 素材によってこの原理が世界と人間へ歩み入ること

  栄 誉

  愛

  忠 誠

 第三節 素材によってこの原理がまったく形式的になること



第二部 特殊部門



第一編 造形芸術



第一章 建 築

 第一節 象徴的建築

 第二節 古典的建築

 第三節 ゴシック建築

 付 録 造園術



第二章 彫 刻

 第一節 エジプトの彫刻

 第二節 古典的彫刻



第三章 絵 画

 第一節 絵画の題材と実物について

 第二節 特性一般

 第三節 情景一般、特定の情感の表現

 第四節 色彩と色調について



第二編 音 楽



第三編 語りの芸術

  韻律化の二つのシステム

  詩の三大形式



第一章 叙事詩

  叙事詩の主要契機



第二章 叙情詩



第三章 劇 詩

 第一節 悲劇と喜劇

 第二節 喜 劇



訳 注

訳者あとがき



訳者紹介

作品名索引

人名索引

G. W. F. ヘーゲル[ゲオルク ヴィルヘルム フリードリヒ ヘーゲル]
(Georg Wilhelm Friedrich Hegel)
1770年、南ドイツのシュトゥットガルトで生まれ、テュービンゲンの神学校で哲学と神学を学んだのち、イエナ大学講師、ハイデルベルク大学教授、ベルリン大学教授となる。発表した本は6点、翻訳『カル親書』(1798年)、小著『差異論文』(1801年)、主著『精神現象学』(1807年)、大著『論理学』(1812?16年)、教科書『エンチクロペディー』(1817年、1827年、1830年)、教科書『法哲学綱要』(1821年)である。1831年にコレラで急死。その後、全18巻のベルリン版『ヘーゲル全集』(1832?45年)が出版される。前半は著作集で、後半は歴史・芸術・宗教・哲学の講義録である。大学での講義を通して「学問の体系」を構築し、ドイツ観念論の頂点に立って西洋の哲学を完成した。

寄川 条路[ヨリカワ ジョウジ]
1961年、福岡県生まれ。ボーフム大学大学院修了、文学博士。現在、明治学院大学教授。単著に『新版 体系への道』(創土社、2010年)、『ヘーゲル哲学入門』(ナカニシヤ出版、2009年)、『ヘーゲル『精神現象学』を読む』(世界思想社、2004年)、共著に『ヘーゲル講義録入門』(法政大学出版局、2016年)、共訳にオットー・ペゲラー編『ヘーゲル講義録研究』(法政大学出版局、2015年)、『初期ヘーゲル哲学の軌跡──断片・講義・書評』(ナカニシヤ出版、2006年)など。

石川 伊織[イシカワ イオリ]
1956年、東京都生まれ。法政大学大学院修了、文学修士。現在、新潟県立大学教授。単著に『倫理の危機?──「個人」を超えた価値の再構築へ』(廣済堂出版、2002年)、共著に『ヘーゲルを学ぶ人のために』(世界思想社、2001年)、『ヘーゲル哲学への新視角』(創文社、1999年)、『近世ドイツ哲学論考──カントとヘーゲル』(法政大学出版局、1993年)など。

小川 真人[オガワ マサト]
1965年、東京都生まれ。東京藝術大学大学院修了、美術博士。現在、東京工芸大学教授。単著に『ヘーゲルの悲劇思想』(勁草書房、2001年)、共訳にオットー・ペゲラー編『ヘーゲル講義録研究』(法政大学出版局、2015年)、マルティン・ゼール『自然美学』(法政大学出版局、2013年)、G.ベーメ『感覚学としての美学』(勁草書房、2005年)など。

瀧本 有香[タキモト ユカ]
1988年、福井県生まれ。早稲田大学大学院修了、文学修士。現在、日本学術振興会特別研究員。共著に『ヘーゲル講義録入門』(法政大学出版局、2016年)論文に「シェリングとヘーゲル──その芸術観と芸術の地位」(『哲学世界』第37号、2014年)、「ヘーゲル美学における有機体の美しさ」(『哲学世界』別冊第5号、2013年)、共訳にオットー・ペゲラー編『ヘーゲル講義録研究』(法政大学出版局、2015年)など。

内容説明

芸術哲学の決定的古典として、西洋美学思想史に燦然と輝くヘーゲル美学。しかし従来読まれてきた版は、聴講者H.G.ホトーの手で「体系」へと編集され、いわば歪曲されたテキストであった。1995年にH.シュナイダー編で初公刊された本書は、1820/21年冬学期ベルリン大学での美学講義を忠実に伝える校訂版であり、ヘーゲル美学のありのままの姿を示すとともに、その後の講義の発展をすべて内包する基礎的内容をなす。

目次

第1部 一般部門(芸術の一般部門(美の概念;美と精神の関係について;自然美と芸術美の区別))
芸術の特殊部門(芸術の象徴形式;芸術の古典形式;ロマン的芸術)
第2部 特殊部門(造形芸術(建築;彫刻;絵画)
音楽
語りの芸術(叙事詩;叙情詩;劇詩))

著者等紹介

ヘーゲル,G.W.F.[ヘーゲル,G.W.F.] [Hegel,Georg Wilhelm Friedrich]
1770年、南ドイツのシュトゥットガルトで生まれ、テュービンゲンの神学校で哲学と神学を学んだのち、イエナ大学講師、ハイデルベルク大学教授、ベルリン大学教授となる。発表した本は6点、1831年にコレラで急死。大学での講義を通して「学問の体系」を構築し、ドイツ観念論の頂点に立って西洋の哲学を完成した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

34
1995年初出。芸術の本質は自然の模倣。激情の惹起と激情の浄化(3頁)。いかに神や永遠なものは把握されるのか(5頁)。哲学が問うのは、絶対的な真理とは何かである(9頁)。より高次の目的とは、満足を知ることでもあり、満足を知ることに再び満足を見いだすことである(13頁)。私が私にとって自我であり、すべての内容が捨象されるとき、私は自由である(17頁)。芸術で重要なのは概念と表現が対応すること、概念が完全な形式を持つことだ(19頁)。美とは外面的に実存する真理、感覚的に思い描かれる真理である(29頁)。2017/09/26

イボンヌ

7
新しく翻訳された本でわかりやすい筈なのに、全く歯がたたず。スケーターの町田樹さんの愛読書ということで読んでみました。2018/11/20

ひろゆき

3
年末から少しずつ読んでいた。美に関するすべてを語る。そしてそれを体系に位置づける。母子像がなぜ美しいのか、男の闘う姿がなぜ美しいのかなど、その理由付けには現在では古めかしいと感じるだろうが、すべてが体系にぴったりと嵌まっていくのだから、改めてヘーゲル哲学の凄みを感じる。制限を脱した美ほど上位にくるので、自然の美しさは芸術の美より下の位置。講義なのでこれでもヘーゲルの中ではわかりやすい。 2019/01/21

呑芙庵

3
長谷川訳と比較してないけど読み切りサイズで最後まで通せた2019/01/19

 

0
再読。ヘーゲルは精神の発展/遍歴を「建築=彫刻」から始まり「絵画」、「音楽」から「詩」(=「語りの芸術」)へと素描する。それぞれに対応するものが象徴主義、古典主義、ロマン主義であり、「形態」と「精神」の不一致としての象徴主義から「精神」が「形態」を破壊してしまうロマン主義への最終的な移行に芸術の役目の終わりを見る。それに代わるものとして「宗教」、或いはそれを止揚する「哲学」の必要性を語る。ただ、そのような「哲学」に対して市民社会の鬼子としての小説(=散文)を対置すること、文学を考える糸口はこれしかない。2023/03/19

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