内容説明
母親との別離、孤独裡の隠棲、肉体的責苦と試練、冥府への下降と天上への上昇、そして死と再生―“人格を造る”加入礼儀式とその文化の意味を、諸大陸の事例に基づき探究。とくに未開‐東洋の“内面性”ある加入礼文化の消滅を問い、成熟システムの欠如を逆照射する。
目次
成人式および未開の宗教における部族の加入礼
秘密の祭祀の形をとる成人式
個人的な加入礼と秘密結社
軍事的加入礼とシャーマンの加入礼
大宗教における加入礼的主題
解説 “ディオニュソス的なもの”と加入礼(前野佳彦)
著者等紹介
エリアーデ,ミルチャ[エリアーデ,ミルチャ] [Eliade,Mircea]
20世紀最大の神話学者、宗教学者、宗教史家の一人。小説家としても知られる。1907年、ブカレストに生まれる。ブカレスト大学で哲学、歴史学を学び(1925‐28)、インドの王侯の支援を受けてカルカッタ大学でインド哲学を学んだ(1928‐32)。帰国後ルーマニアを代表する新進の知識人、著作家、学者としてめざましい活動を続けたが、共産党の政権奪取により、1945年、フランスに亡命。神話学者、宗教史家としての名声を確立した。1956年合衆国シカゴ大学に招聘され、1986年に亡くなるまで、合衆国で宗教史、宗教学の中心的存在として活躍した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
6
加入礼では、平面運動する若者たちが垂直運動するシャーマンの示す聖なる宇宙へ飛躍するための儀式が行われる。ニューギニア、アメリカ、アフリカでは主宰者が仮面をつけて祖霊となり、若者たちに苦痛を伴う儀式を通してこの聖なる宇宙を体験させる。祖霊たちとの遭遇によって死と生が結びつき、シャーマンの上昇下降を模した残酷な儀式を経ると、死と再生が循環する宇宙が現れる。女性の加入礼が少ないのは、初潮によって個々にこの宇宙を知るからだ、と著者は言う。男性は血と性がこの循環を支えることを、秘密結社の中で集団で学ばねばならない。2021/07/12
sibafu
3
読んだけど内容をほとんど覚えていない。成人式とかの子供から大人になって社会に加わるためのイニシエーション(加入礼)などについて。期待していなかったのだが意外にもシャーマンになるための儀式なども例証されていてよかった。村から離れ一人あるいは数人のグループで森に入るとか、隔離された場所で怪物に殺されてから再生して戻ってくる、とかそういう実例が多かった記憶。訳者による解説がぜんぜん解説になっていないような。構造主義的な話で興味はあるが。2014/06/12