内容説明
原発事故、環境汚染、経済破綻…われわれはリスクの時代に生きている。かつて二極化と敵対関係で成立していた世界は、いまや一元的に危険でリスクに満ちたものとなる。近代化とグローバル化を経て、いま我々が直面する新たな“リスク”とは何か?
目次
第1章 序―コスモポリタン宣言
第2章 コスモポリタン社会としての世界リスク社会?―不確実性を生みだす枠組みが抱えるエコロジーの問題
第3章 産業社会からリスク社会へ―生存、社会構造、エコロジー的啓蒙の問題
第4章 リスク社会と福祉国家
第5章 サブ・ポリティクス―エコロジーと制度がもつパワーの統一性の喪失
第6章 認識か、無意識か?―「再帰的近代化」をめぐる二つの視点
第7章 リスク社会再論―理論、政治、批判、研究プログラム
著者等紹介
ベック,ウルリッヒ[ベック,ウルリッヒ] [Beck,Ulrich]
1944年生まれ。ミュンヘン大学で社会学、政治学、心理学、哲学を学ぶ。1979年から92年までミュンスター大学、バンベルク大学教授を歴任し、現在はミュンヘン大学社会学部教授およびロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの社会学教授
山本啓[ヤマモトヒラク]
1947年生まれ。中央大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(政治学)。東北大学大学院名誉教授。専攻:政治学、公共政策論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ラウリスタ~
8
訳者もいう通り超悪文。それでいて、面白くもない。1999年に書かれたからか、むやみやたらと世紀末的にリスク!リスク!って言うが、それをこの人が書く必要もよく分からない。BSEや遺伝子組み換え、原子力、アスベストとかについて、国境を越え、世代を越えて、後回しにされるリスクということを書いているようだが・・・。このなんとも言えない胡散臭さは、おそらく89年以降に、核ミサイルが降ってくる恐怖から解放された人々が、それでも敵を求めて、環境破壊という誰もが正義になれる存在を見つけたからだろう。2015/03/10
へんかんへん
2
今読むと重さが違う2016/07/14
Ironyuc
2
今やリスクは世界的な影響力を持ち、しかも人類はリスク予測が不可能な世界に突入している。これは近代の資本主義と民主主義のシステム的帰結であり、サブポリティクスに象徴される新たなシステムを作ることで乗り越えて行くことになる、と言った論。環境破壊やハッキング、テロリズムなど、現代の主要な問題を一挙に捉えうる射程の大きさだ。今更進歩史観を表明する訳ではないが、人間には苦難を乗り越える強さがあると信じたい。誤訳が多いので、辞書を片手に英文を読むのが苦でない人には、原書に当たることをお勧めします。2015/01/31
yokkoishotaro
1
リスク社会の中で、ベックのいう再帰的近代化はすごく大事な概念なのだけれど、難しかった。でも本質的な答えが隠れている気もして、いろいろと調べていきたい。2022/10/29