内容説明
アルジェリアの民族学者として出発し、第二次大戦中には対独レジスタンスに身を投じたティヨンは、ナチス絶滅収容所の地獄を生き延びた戦後も、母国フランスのおこなう植民地戦争への抵抗をつづけた。家族や仲間を失いながらも、全体主義・植民地主義のもたらした暴力と憎悪に尊厳をもって立ち向かった歴史家の断片的自伝を再構成し、20世紀の人間的経験を伝える証言の書。
目次
1 アルジェリアの民族学者(一九三四‐一九四〇年)
2 レジスタンスと牢獄(一九四〇‐一九四三年)
3 強制収容所送り(一九四三‐一九四五年)
4 強制収容所出所後の時期(一九四五‐一九五四年)
5 アルジェリア戦争(一九五四‐一九五七年)
付録
著者等紹介
ティヨン,ジェルメーヌ[ティヨン,ジェルメーヌ][Tillion,Germaine]
1907‐2008。フランスの女性民族学者、レジスタンス活動家、人権活動家。マルセル・モース、ルイ・マシニョンの下で民族学研究を始め、第二次世界大戦直前の時期にアルジェリアのオーレス山塊地方で、二十代から三十代にかけてほとんど単独で四年にわたりフィールドワークをおこなう。帰国時にナチスドイツのフランス占領に遭遇し、ただちにレジスタンス活動に入り、パリにおける初期レジスタンス活動に指導的役割を果たす。ドイツ警察に逮捕され、ラーフェンスブリュック女子強制収容所に収容され、同収容所で母親を亡くす。終戦直前にスウェーデン赤十字によって救出され、戦後はレジスタンスと強制収容所についての調査・研究をおこなうとともに、世界の他の国々になお存在する強制収容所を告発する運動に加わる
トドロフ,ツヴェタン[トドロフ,ツヴェタン][Todorov,Tzvetan]
1939年ブルガリア生まれ。1973年フランスに帰化。『小説の記号学』で構造主義的文学批評の先駆をなす
小野潮[オノウシオ]
1955年宮城県に生まれる。東北大学大学院博士課程単位取得修了。中央大学文学部教授。19世紀フランス文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。