内容説明
紀元前600~400年のギリシア哲学。ヘシオドス『神統記』生成のメカニズム、ピュタゴラス哲学やヘラクレイトス哲学の「構造」概念への寄与、ソピストとその時代の性格と意味、パルメニデスからデモクリストにいたる初期ギリシアの宇宙論の系譜とその基本的特徴などに対して、著者独自の洞察を展開。
目次
第1章 序論
第2章 ミレトスの哲学者たち
第3章 ヘラクレイトス
第4章 ピュタゴラスと西ギリシア
第5章 パルメニデスとゼノン
第6章 ソピストたちの時代
第7章 パルメニデスからデモクリトスにいたる宇宙論
第8章 結び―プレソクラティクスの研究
著者等紹介
ハッセイ,エドワード[ハッセイ,エドワード][Hussey,Edward]
英国のギリシア古典学者。1942年に生まれる。プライズ・フェロー(1962‐69年)、リサーチ・フェロー(1969‐2007年)として、45年にわたりオックスフォード大学のオールソウルズ・カレッジで研究生活を送り、2007年の退職後も同地で教育・研究に従事している
日下部吉信[クサカベヨシノブ]
1946年に生まれる。1969年立命館大学文学部哲学科卒業。1975年同大学大学院文学研究科博士課程満期退学。1987‐88年、1996‐97年ケルン大学トーマス研究所客員研究員。2006‐07年オックスフォード大学客員研究員。現在、立命館大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Gokkey
11
以前の日下部氏の著作同様、古代ギリシアにおけるピュタゴラスの違和感がより一層際立ち、さらなる興味を惹かれる。どうも数学のヒトというイメージが強いが、ピュタゴラスはシャーマニズムの洗礼を受けた非ギリシア人であり、彼がギリシアに持ち込んだものは心身二元論の萌芽ともいうべき魂の概念であったようだ。ピュタゴラスの研究対象は天文学から医学・生物学に至る幅広いものであったようだが、そのすべてがある一定のリズムをもった経時的変化を示すものであり、そのベースに数学が方法論としてあったという理解がより正確なようだ。2020/11/03
Z
4
神話が世界の成り立ちについて説明していたなかで、目の前にある自然の秩序から世界の仕組みについて探求、思考を巡らせていった人々=ソクラテス以前の哲学者の入門書、かつその整理。章ごとに思考した場所でまとめていて、新鮮だった。これから、自然と区別される社会の秩序がどのように以後思考されたか、考えたい。2015/04/20