叢書・ウニベルシタス
ムージル伝記〈3〉

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  • サイズ B6変判/ページ数 794p/高さ 49cm
  • 商品コード 9784588009167
  • NDC分類 940.28
  • Cコード C1323

内容説明

反戦・反ファシズムと文化の擁護を目指したパリ国際作家会議では孤立し、ナチスからは禁書とされ、亡命を余儀なくされるムージル。それに対して長編の完成を願ってベルリンやウィーンで「ムージル協会」が設立され、トーマス・マンやブロッホらの懸命の救援活動が続く。「作家以上のもの、あるいはまた同様に、作家とはまったく違う何か別のもの」とも称されたムージルの“真正さ”を保つ精神の最後の光がここにある。『特性のない男』の刊行からその死までを描く完結編。詳細な「年譜および居住・滞在の軌跡」を付す。

目次

「そこではドイツの緊迫した精神生活がじかに感じとれるので…」―ベルリンという知的な環境。一九三一年~一九三三年
「これ以上はもう無理だ」―一九三〇年代前半の困難な出版事情、経済的困窮、ベルリン・ムージル協会の設立
「特性のない男」から「特性のない民族」へ―『特性のない男』第二巻の反響
「歴史の混乱ではなく、歴史の一段階」か?―ムージルと一九三三年以後の政治
転居して、長らく窮状に、出版業者のこと―ムージル基金の設立
非政治的人間の政治的登場―「文化擁護のための国際作家会議」とその帰結
「轟音が響き、あえぐ世界のただなかの、ほんのささやかな物語」―『生前の遺稿』
生の危機と愚かさ、生命にかかわる愚かな言動―オーストリア等族国家の末期
感情と情熱のいとなみ―『特性のない男』ゲラ刷りの章(一九三八年)
「この空の下では息ができない」―オーストリア併合とムージルの亡命
「この世で最良の地」―スイスでの亡命生活-チューリヒ ペンション・フォルトゥーナ
「まるでぼくはもう存在していないかのようだ」―ジュネーブ時代
「あまりに長く続く不遇の日々に、力つきて」―作品を蘇らせるためのマルタの報われぬ戦い

著者等紹介

コリーノ,カール[コリーノ,カール] [Corino,Karl]
1942‐。バイエルン州北部に農場主、音楽家の息子として生まれる。ディンケルスビュールの古典語ギムナージウムに学び、エアランゲン大学およびテュービンゲン大学でドイツ語ドイツ文学、古典文献学、哲学を研究。1969年テュービンゲン大学のバイスナー教授のもと、ムージルの『合一』についての論文により博士号取得。ヘッセン放送局文化部に入社し、1985年から文化部長。その後フリーの著述家としてテュービンゲンに在住。ピサ、セントルイス、エッセンにおいて客員教授、ベルリン学士院フェロー、I.バッハマン賞審査委員など、ムージルの伝記的研究の第一人者

早坂七緒[ハヤサカナナオ]
1947年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。中央大学教授

北島玲子[キタジマレイコ]
1953年生まれ。大阪大学大学院博士課程単位取得退学。文学博士。上智大学教授

赤司英一郎[アカシエイイチロウ]
1953年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。東京学芸大学教授。国際ムージル学会員

堀田真紀子[ホリタマキコ]
1965年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。元北海道大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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