出版社内容情報
普遍的な知を求めて科学と歴史の時空を縦横に駆けめぐって原初のカオスを包摂した多様な起源を発見し,幾何学を超える普遍性をそなえた新たな〈知〉の誕生を語る。
内容説明
科学史や歴史理論の時空を縦横に駆けめぐり、万人の認める普遍性としての科学、とりわけその典型としての幾何学の起源を探索する。原初のカオスを包摂した多様な起源の発見を通じて幾何学を超える普遍性をそなえた新たな知の誕生を語る。
目次
普遍的なもの―その初期の構成物の一つ
差異―科学史におけるカオス
総合―歴史の科学
慣習と法則(歴史における最初のもの―アナクシマンドロス;儀式における最初のもの―生贄にされる王 ほか)
自然(歴史における最初のもの―タレス;哲学における最初のもの―無知な少年奴隷 ほか)
結論(土地の測定―ヘロドトス)
著者等紹介
セール,ミッシェル[セール,ミッシェル][Serres,Michel]
1930年フランス南西部アジャンに生まれる。海軍兵学校、高等師範学校を卒業。数学、文学、哲学の学位を取得。1958年からクレルモン=フェランの文学部で10年間教鞭をとり、ライプニッツ研究で文学博士となる。1969年からパリ第一大学教授として科学史講座を担当。数学、物理学、生物学の研究の上に人類学、宗教学、文学等の人間諸科学に通暁する百科全書的哲学者としてフランス思想界の重要な一翼を担う。科学的認識と詩学とを統一的な視野に収め、西欧的思考の限界に挑む
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感想・レビュー
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roughfractus02
8
『ローマ』『彫像』に続く「定礎の書」である本書は、古代ギリシャで発明された幾何学を普遍性概念と帝国的暴力の起源として扱う。定礎に保存されるのは悪としての「ことば/ロゴス」だ。本書はギリシャが発明したロゴスを「ある比から別の比へと進み、さらに置換されることによって後者か ら第三の比へ等々と移っていく比例中項」と捉え、比例こそ土地を離れた普遍性概念を生むとした。一方、抽象化に向かう幾何学と共に生まれた地理学は、土地を測る暴力としてロゴスを生きた世界に向ける。この暴力を取り去った知覚や観念を持つことは可能か。2024/09/08